2016 Fiscal Year Research-status Report
王政復古期プリントカルチャーが反映する非国教徒の声
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16K13202
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
高野 美千代 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (10289811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非国教徒文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
王政復古期非国教徒文学の主要作家ロバート・ワイルドとベンジャミン・キーチの作品の精読・分析を主に行った。ロバート・ワイルドに関してはすでにある程度の研究を進めているため、書物史的アプローチによるIter borealeの考察を加えながら作品の理解・受容・背景の検討を行った。さらに、当時ワイルドに次ぐ注目を浴びたと考えられる非国教徒作家のベンジャミン・キーチによる作品を対象として精読・分析を試みた。ワイルドとキーチは出版物の数から言っても非国教徒文学を代表する著者であるため、この2名による作品は本研究の核となるものであり、初年度に十分な考察を済ませ、次年度からの研究の土台を固めるべきであると考えた。キーチは1670年に初めて作品を発表してから1704年に亡くなるまで、30年以上執筆活動を継続した。生涯の出版物は100種以上に及び、出版物の形状は一枚刷りのブロードサイドから手のひらサイズのドゥオデシモまで多様であった。中には人気を博し、何度も版を重ねた著作もあった。考察を進めるうちに、キーチの作品は一次資料のみで膨大な量があり、さらに多くの時間をかけて精読作業に向かわなければ、論考をまとめて発表する段階には到達しないことが判明した。論文を執筆している段階ではあるが、次年度も引き続き資料の確認・収集等をあわせて、キーチの作品の読み込みを行うことになる。英国出張の際には現地における文献資料調査を実施し、現地研究協力者と面会して今後の研究の計画を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた2週間程度の現地調査が行えなかったため、共同研究、資料閲覧・収集に関して一部進展しなかった。そのため、初年度内に論考をまとめて発表するに至らなかった。しかし基本的な文献資料入手および海外研究者との共同研究は進んでいるので、成果はまとまり次第発表したい。
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Strategy for Future Research Activity |
英国現地での文献調査収集を行い、研究に十分な資料を入手するとともに、海外研究者との研究交流を進めたい。さらにH29年度はワイルド、キーチ以外の作家から、とくにハーキュリーズ・コリンズとトマス・グランサムを研究対象に含めて各作家作品の比較分析を行う。
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Causes of Carryover |
2週間程度の英国現地調査を行い、資料収集及び研究協力者との共同研究を予定していたが、先方の都合と調整がつかず、現地調査を延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度中に実施できなかった英国での現地調査・資料収集を29年度中に行う。
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