2019 Fiscal Year Annual Research Report
Nonconformist Print Culture in Restoration England
Project/Area Number |
16K13202
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
高野 美千代 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (10289811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 17世紀非国教徒文学 / ヴァヴァサー・パウェル / ジョン・バニヤン |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は日本国内においてはほぼ未知の作家である第五王国派ヴァヴァサー・パウェルを新たに研究対象とした。想定した以上に作品は難解であり、テクストの読み込みに大変な労苦と時間が必要となった。考察の執筆に着手したが、完成するには至っていない。一方で、バニヤンの『天路歴程』日本語訳の考察をまとめたほか、国内学会誌に投稿するため、ベンジャミン・キーチの論考を執筆した。 2019年度の大きな成果は、本研究課題における大きな目標が達成できたことである。日本国内では十分に考察がなされていない作家群・作品群を研究対象としているため、国際的な研究ネットワークが重要と考えてきた。そこで、海外研究協力者である英国スターリング大学ニール・キーブル氏、オックスフォード大学ジョージ・サウスコム氏を招聘し、2度にわたって国際研究集会を開催した。リチャード・バクスター研究の世界的権威であるキーブル氏からは、17世紀後半の英国において、非国教徒作家たちが政治的宗教的メッセージを同時代の民衆に伝達するためにプリント(印刷物)が不可欠であったという本研究の命題に沿って講演をしていただいた。(演題:キーブル "Puritanism and Print in 17C England" 高野"John Bunyan's The Pilgrim's Progress in Japan")サウスコム氏を招いて行った科研費研究成果公開事業となる研究会においては、17世紀英国のプリントカルチャーについての研究発表(演題:サウスコム"Protestantism and Print in 17C England",高野「非国教徒のプリントカルチャー」)を行った。この研究集会には、研究者はもちろん、学生や一般の文学・歴史愛好者など多様な聴衆を迎えることができ、本課題による近世英国研究の成果を、広く社会に発信することとなった。
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