2016 Fiscal Year Research-status Report
グループ・ライティング教育の多様性―文化史研究からカリキュラム開発へ
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16K13205
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
C・E Madeen 東京都市大学, 共通教育部, 准教授 (60298007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 裕代 東京都市大学, 共通教育部, 講師 (20581797)
秋山 義典 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (70298008)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | クリエイティブ・ライティング / ワークショップ / 冷戦と大学 / ラーニング・ストーリー / 保育と記録 / 多読 / 合意形成 / 地域交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、3つのトピックごとに計画を進行している。 アジア圏の大学において、クリエイティブ・ライティングコースが設置されている大学について調査し、所属教員へのインタビューを行った。たいていの場合、English Courseに併設または、下部組織として存在していた。また、「日本にはなぜクリエイティブ・ライティングコースは定着していないのか」という問いに対して、むしろ、「なぜアメリカにおいてのみ、クリエイティブライティングコースが盛んなのか?」という問いにたどり着いた。関係図書の調査も併せて考えるに、クリエイティブ・ライティングコースとは、アメリカ冷戦期において理想とされたリベラルな市民にとって習得するべき技能であり、その人間像を生み出すのが創作科ということになる。本プロジェクトは、こうしたアメリカの冷戦期の価値観と創作をめぐる問題意識の接続こそが、取り組むべき課題であると思うに至った。 また、もう一つの柱として、グループ・ライティングの一つの形態として、ニュージーランドのラーニング・ストーリーを参考に、日本の保育園(藤沢市)にて、グループライティングと保育の記録を接続させる試みを行っている。これは、ライティングのプロセスが、保育士の業務省力化につながる制度設計を検討しているところである。 最後に、多読メソッドや英語リーディング科目におけるライティングの可能性を考えている。こちらは、多読活動を図書館と連携しながら進めたり、また、尾山台商店街やその他、地域の方へのインタビュー経験を交えたうえでのライティング活動など、小さな交流を進めるなかで、準備を進めている。また、キーワードとして、個人的な出版活動、同人誌活動といわれるZINE(ジン)というメディアとの連携も予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定している研究上のテーマには予定通り着手し、関係機関(地域、外部機関の専門家、学内機関、研究協力者)との意見交換の場を持つことができ、基盤は整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
創作科を冷戦期的アメリカの価値観を体現する場として考えるとき、アジア各地域の創作科の設置状況は、政治的な文脈の中で読み込むことが可能になる。それを踏まえ、今年度は、フィリピンの大学から研究者を招き、講演会を開催したいと考えている。そして、そこにある価値観や、受容する際の変容などをとらえ、可能な限り、日本での英語教育、論文執筆指導法への示唆を考えていきたい。
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Causes of Carryover |
研究分担者のうち1名が予定していた調査のための旅費が、分担者の体調不良により年度内に実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、調査を行うか、または海外研究者の招聘に使用する予定である。
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