2018 Fiscal Year Annual Research Report
Latin Poet Claudian as a Connecter of Ancient and Medieval Ages in the History of the European Literature
Project/Area Number |
16K13211
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮城 徳也 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90278789)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クラウディアヌス / 祝婚歌 / 叙事詩 / スティリコ / ホノリウス / 西ローマ帝国 / ラテン文学 / 異教文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は本研究の最終年度として,収集,参照できた資料を精査し,前年度,勤務先の特別研究機関を利用して,滞在できたフィレンツェでラウレンツィアーナ図書館の写本閲覧室へのアクセス権を得ることができたが,本年度も科研費を利用して,フィレンツェに研究出張し,ラウレンツィアーナ図書館でクラウディアヌスの写本を閲覧することができ,古代末期の詩人クラウディアヌスの中世における受容を知ることができた.収集,参照したテクストによって,本年度は,戦争詩,政治詩を読解し,皇帝ホノリウスの宮廷詩人としての立場,ホノリウスの義父となり後見人となったスティリコに賛辞を贈って,その地位を強固にする姿勢を再認識することができた.今後の展望も視野に入れながら,クラウディアヌスの全作品において,叙事詩的物語詩,戦争詩,政治詩を精査し上で,「祝婚歌」の重要性を確認できた.ギリシア古典文学以来の祝婚歌の伝統を踏まえた「パラディウスとケレリナの祝婚歌」,伝統に確信と変容を齎したスタティウスの「ステラとウィオレンティラの祝婚歌」を継承し叙事詩的物語を中心に据え,ホノリウスとスティリコの政治的,軍事的立場も同時に歌いこんだ「ホノリウスとマリアの祝婚歌」は,ラテン語が習得言語であったと考えられるこの詩人の出発点と到達点を示しているとの結論を得ることができた.また,後世に「ラテン詞華集」に採用,紹介された「ラウレンティウスとフロリダの祝婚歌」は,クラウディアヌスの最新の2つの校訂版の補遺にも収録されているが,真作性は概ね否定されている.しかし,この作品の中にクラウディアヌスとの関係を読み解くことにより,クラウディアヌス以降のシドニウス,ドラコンティウスなどキリスト教ラテン詩人に連続する異教ラテン詩の伝統を浮き彫りにできるであろうとの結論に至った.この成果は,2919年度に3本の論文として学術雑誌に掲載予定である.
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Research Products
(1 results)