2017 Fiscal Year Research-status Report
音声情報処理技術を利用したタイ語声調習得支援システムの研究
Project/Area Number |
16K13220
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
壇辻 正剛 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (10188469)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南條 浩輝 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (50388162)
佐藤 博史 天理大学, 国際文化学部, 教授 (50235389) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | タイ語 / 声調 / 声調習得支援 / 声調言語 / 調値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はタイ語声調の自動判定を目指した3年計画の中間段階に相当し、以下の様な研究を中心に推進した。(1)タイ語音声データの継続収集、継続編集を実施した。タイ語の声調習得支援システムの構築に適したソフトウェアの開発に関する検討をさらに進め、研究を推進するために必要な分析対象のタイ語教育用の音声データの収集、編集を継続して行なった。(2)声調表示機能の強化の研究を推進した。タイ語教育の現場での音声分析に適する様に、環境雑音や不安定な入力音声等にも安定した出力が可能になるように、声調の明示化等に検討を重ね、ピッチ(基本周波数)の表現の強化を図る研究を行なった。(3)調音機構の特性の研究を推進した。インフォーマントの発音面での対応に関連して、調音面での研究をさらに発展させるために、実験音声学の研究成果を検討することによって、調音機構の特性に基づいた音声分析の研究を進めた。(4)声調言語を対象とした声調判別システム構築の研究を推進した。具体的には調値に基づく転移学習を指向した声調モデルを作成し、声調判別システムの開発研究に取り組んだ。(5)調値に基づく声調のモデル化と判別実験を実施した。音声認識ツールを用いて声調の判別実験を実施した。声調判別実験や判別率向上のための条件探索に関する研究を推進した。考案した調値に基づく声調モデルは、一音節に一声調を割り当てる声調モデルよりも判別率が向上することが示された。これは、調値に基づく声調モデルが声調判別において従来の手法よりも有効である可能性を示している。以上の様な研究の成果に基づいて、タイ語声調の自動判定の施策ツールを開発した。今後はさらに、学習データの音声データを増加した実験により、声調判別における調値に基づく声調モデルの有効性を確認し、研究成果を含む論文執筆の準備を進めていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、日本人学習者(日本語母語話者)のタイ語学習の際に支障となるタイ語の声調習得の学習支援を目指して、音声・言語情報処理技術を応用したICT支援による声調の自動判定・自動評価システムの開発を目指して研究を推進したが、本年度は研究を推進するための中間段階として分析対象のタイ語教育用のタイ語母語話者の発音した音声データの収集、編集を継続して進め、データの蓄積も順調に進んでいると判断した。また、声調の分析実験や認識実験においては、調値に基づく声調のモデル化と判別実験を実施するなど、従来の手法よりも有効なモデルの考案と試作ツールの開発が可能になり、順調に研究が進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はタイ語の声調の判別実験や判別率向上のための条件探索に関する研究をより一層進展させたい。考案した調値に基づく声調モデルは、一音節に一声調を割り当てる声調モデルよりも判別率がより向上し、調値に基づく声調モデルが声調判別において従来の手法よりも有効である可能性を示しているが、さらに音声データを増加した実験により、声調判別における調値に基づく声調モデルの有効性を確認すると共に、さらなる新たな手法を考案し、声調言語を対象とした声調判別システム構築の研究の発展に寄与したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
本研究課題に関連して、当初予定ではタイ国内で現地調査や資料収集をはかる予定であったが、バンコクで爆破事件が発生するなど、社会情勢が十分に安定していないと判断し、タイ国への渡航を控えたため、旅費を中心に次年度使用額が生じた。次年度には、研究の成果発表旅費や研究成果の社会的還元を視野に入れつつ成果物の印刷費など研究成果の発信に関連する費用をより充実させたいと計画している。
|