2017 Fiscal Year Annual Research Report
Modeling of pragmatic inference in real time by EEG experiment.
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16K13222
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
時本 真吾 目白大学, 外国語学部, 教授 (00291849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮岡 弥生 広島経済大学, 経済学部, 教授 (10351975)
玉岡 賀津雄 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70227263)
滝浦 真人 放送大学, 教養学部, 教授 (90248998)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳波 / 事象関連電位 / 発生源推定 / 推論 / 語用論的推論 / アブダクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、語用論的推論に伴う脳活動を多チャンネル脳波計によって計測し、語用論的推論の時系列を明示することで実時間談話理解モデルの構築を試みるとともに、発生源の推定によって談話理解能力の領域固有性について神経科学的証拠を提出することを意図したものである。 話し手の意図が間接的に表現された発話の理解について発動される語用論的推論は、可能性やもっともらしさの判断を含む点で論理的演繹とは異なる特徴があるので、本研究は論理的演繹と語用論的推論の神経活動差異にまず注目した。また、本研究は文脈を操作することで、語用論的推論の形式を変化させ、推論の形式に対応した神経活動の検出を試みた。具体的には、演繹的に意図が推論される場合と、仮説構築または文脈の探索的検索が想定される談話を比較した。 実験の結果、間接的発話の理解については頭皮上中央部から頭頂部を中心に広範な陰性成分が観察された。論理的演繹については、しばしば左前頭部の関わりが指摘されるが、この陰性成分に左右差は認められないので、論理的演繹と語用論的推論とは、かなり異なる内的処理を含むと考えられる。また、この陰性成分は頂点潜時が約500ミリ秒で、「スカラー含意」や比喩・皮肉の理解について観察される陰性成分と頭皮上分布ならびに潜時帯が類似しているので、含意の理解には共通した神経基盤・機序があることが窺われる。さらに文脈の検索が想定される発話についての陰性成分は演繹的な推論よりも陰性成分の振幅が大きく、文脈の検索がより多くの心的資源を要することを示唆している。また、陰性成分の発生源推定を行った結果、陰性成分の発生源は前頭ならびに後頭の内側部で、間接的発話の理解と心の理論との関わりが示唆された。
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