2017 Fiscal Year Research-status Report
日英バイリンガル園児のメタ言語能力発達段階解明fNIRS研究
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16K13225
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田浦 秀幸 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (40313738)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイリンガル / 認知的発達 / fNIRS / ブレインイメージング / 幼稚園児 / 認知的葛藤タスク |
Outline of Annual Research Achievements |
バイリンガル児の認知的発達は、小学校中学年位まではモノリンガル児よりも早いとの報告がある。これらの研究はアルファベット言語間バイリンガル(例えば英語とフランス語等)を対象としたものが大半であり、言語間距離の遠い言語(アルファベット言語と中国語のような表象言語等)を操るバイリンガル児対象の研究は非常に少ない。そこでこの研究は日英バイリンガル園児(2~6才)を対象に、これまでの研究報告の敷衍性を探ることにた。初年度はシンガポールのこのはな幼稚園(日英バイリンガル幼稚園)に通うバイリンガル園児から横断データを収集した。加えて、昨年の予備実験に参加した2才児からは2年目(3才児時)のデータも収集した。2年目も同様のデータ収集を継続した。 タスクとしては、サイモンタスクやストループタスク等認知的葛藤タスク以外に、日本語と英語の語彙テストも実施した。語彙タスク以外の遂行時には前頭葉前額部(Fp1とFp2)にpocketNIRSを装着して血流(Oxy, Deoxy, Total-Hb)も測定した。年齢群比較が行えるように、下作業として、各園児の言語歴整理、各タスクの行動データ、fNIRS(機能的近赤外分光法)データの標準化作業を2017年度前半度で終えた。対象園の都合でデータ収集が年度末の3月となったが、ほぼ計画通りに進めることができた。 3年間の縦断・横断研究で所期の目的を完遂する為のデータは初年度に続き2年目も収集できたが、実際に子供達に接しているとバイリンガル度に疑問に感じる事もあり、最終年度には保護者からの家庭内言語使用様態の詳細なデータを入手する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象早期バイリンガル児の保護者の転勤による、継続データ収集の不可ケース数が事前予測よりも多かった部分を除き、縦断・横断データ収集は概ね計画通りに2年度も行えた。 2年前に2才児であった子供達を縦断的に追う部分が主であり、4才児となりかなりデータ収集にも慣れ、質の高いデータ収集ができた。また、横断データとして、今年の2才児クラスよりデータ収集を行ったが、例年に比べて泣いたり、fNIRS装着を嫌がる子どもが少なく順調にデータ収集を進めることができた。年長者の語彙力が増え閾値を超えて次のステージにまたがり時間がかかるのは予想できたが、予想外に時間がかかったのは、明らかに語意がわかっていないのに当てずっぽうで正解を重ねて運良く閾値を超え、次のステージに進む子どもが続出した為である。行動データ的には仕方ないが、明らかに当てずっぽうと分かるケースでは、行動記録にその旨注釈を入れておく必要性を感じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度収集データの整理と下分析を本年度前半で行いながら、最終年度の実験計画を立てる。初年度のデータは整理と下分析が完了したので、パイロット研究データとの比較を行いたい。本年度は最終年度であり、データ収集完了直後に3年間のまとめをする必要がある。
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Causes of Carryover |
謝金、データ収集補助アルバイト代金、旅費等は計画通りであった。膨大な脳賦活fNIRSデータ処理用PCを本年度購入予定であったが、データの整理と下分析に手間取り、本分析まで進めず新規PC購入を次年度に先送りした。研究最終年度の3年目に購入して分析を開始する。
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