2016 Fiscal Year Research-status Report
現代日本語諸方言における連声規則の記述とそのデータベース化
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16K13227
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Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
Principal Investigator |
黒木 邦彦 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 准教授 (80613380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 知子 (池谷知子) 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 准教授 (40581228)
田附 敏尚 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 講師 (90645813)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本語音韻論 / 連声 / データベース / 自然音類 / 清濁の対立 / 有声化 / 鼻音化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績は次の3点に集約される: (1) 日本語連声データベース (以下「連声DB」) の設計: 研究会等で本研究計画を紹介すると共に、同データベースが広く活用されるための設計に関して多くの助言を得た。また、同データベース用の資料を充実させるため、所属機関の学生をアルバイターとして雇い入れ、代表者が所有していた方言談話資料の文字起こしや連声データの入力を進めた。 (2) 北薩摩方言における連声の調査: 同方言の聞き取り調査を、現地および所属機関で合計3回行ない、連声DBに収録する資料を得た。 (3) 日本語の阻害音における有声化と鼻音化との相関の解明: 日本語の阻害音は「清音」と「濁音」とから成る。両者の対立は、多くの場合、有声性の有無に拠るが、鼻音性に拠ることも有る。日本の東北部および南西部に分布する方言においては、母音の直後で清音p, s, t, kは有声化し、濁音b, z, d, gは鼻音化する。一部の研究者は、こうした清濁対立の地理的変種を踏まえて、古代日本語において清音の有声化と濁音の鼻音化とが起こっていたと見做している。この説を発展させるため、清濁対立の地理的変種に関して、次に挙げるふたつの事実を指摘した。第一に、bおよび/ないしzの鼻音化は、d, gのそれを常に含意する。第二に、清音の有声化と濁音の鼻音化は、ほとんどの方言において清音が無声摩擦音化している、p:b・s:z対立におけるものの方が、一部の方言において清音が有声閉鎖音で実現する、t:d・k:g対立におけるそれより早く失われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したとおり、日本語連声データベースの作成に関する仕事も、連声を中心とする日本語音韻論の研究も進んでおり、電子テキスト、Excelデータ、論文等の形で成果も上がっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度からは連声規則の記述に力点を移し、現地で実施する方言の聞き取り調査は疑問点や仮説の確認に留める。連声規則の記述にあたっては、分節音を素性単位まで分析する。ただし、日本語においてモーラ数を変える連声が稀有であることを考慮して、モーラ単位の交替も認める。 最終年度末には研究成果の集大成たる連声DBをウェブ上で公開し、日本語歴史音韻論の発展に貢献する。本研究で作成する連声DBは、諸方言の連声を記すだけでなく、それに関与する音素の素性や連声が反映する自然音類も収録する予定である。
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Research Products
(2 results)