2016 Fiscal Year Research-status Report
動詞と共起する名詞群の検索エンジンの構築と読解および聴解に対する共起知識の貢献
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16K13242
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉岡 賀津雄 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (70227263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 杏子 関西学院大学, 日本語教育センター, 講師 (80723543)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 基本動詞 / 共起頻度 / 自他対応動詞 / 動詞活用形 / 脳波 / 言語非選択的活性化 / 語の統語情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、7つのことを行った。第1に、1998年から2015年までの新聞記事テキストデータより、18年間の新聞記事データで、使用頻度を検索するための形態素頻度リストを作成し、大規模コーパスの頻度検索の基礎データを作成した。第2に、726語の基本動詞を選び、上記の形態素頻度リストを使って活用形別の頻度を検索した。そして、Excelに、これらの情報の一覧を作成した。第3に、自他対応動詞34対を選び、上記の頻度リストで自動詞と他動詞の使用頻度を比較した。その結果、未然形、連用形、終止形、仮定形、命令形および全活用の総使用頻度のすべてにおいて、自動詞と他動詞の使用頻度に有意な違いはなかった。命令形については、平方根変換した数値についてのみ、他動詞の頻度が自動詞より多かった。これまで日本語は「なる」言語とされ、自動詞がよく使われる傾向を予測してきた。しかし、動詞によって使われ方が多様であり、自動詞も他動詞もほぼ同じような頻度で使われていることを示した。第4に、日本語(L2)と中国語(L1)の2言語間の形同義漢語動詞の受動態に使用頻度の違いの影響を視線計測によって検証した。第5に、中国人日本語学習者の日本語処理におけるL1中国語とL2日本語の使用頻度の影響を、脳波によって検討すべく、実験を実施した。第6に、日本語、中国語、韓国語、ベトナム語の4言語間の漢字二字で表記される類似語の音韻類似性を計算している。音素の類似性、cbaというR上で起動する音韻的距離を算出した。音素の類似性とcbaによる音韻的距離の相関は、いずれの組み合わせでもr=0.80以上で、非常に高かった。現在、音声提示による語彙類似性判断の実験を韓国語と中国語で実施しており、近日中に分析に入ることができる。さらに、第7に、主観的な音韻類似性判断を測定して、音韻類似性指標の信憑性と信頼性を測定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
動詞頻度コーパスを作成して、活用別の頻度一覧を作成した。これを使って、自他対応動詞36対の頻度を比較して、両者の頻度に違いがないことを証明した論文を投稿しており、現在、査読にかかっている。また、視線計測によりL1の動詞の統語情報がL2に影響することを実証した論文が印刷された。また、テストにより、L1とL2の統語情報の違いの影響を測定した論文も採択されて、印刷中である。2017年12月頃に印刷される予定である。さらに、脳波実験により、言語非選択的活性化を実証する実験を実施している。今後、動詞と共起する主語や目的語の共起頻度を検索することを目的としている。しかし、当初の予定であった名詞との共起頻度の検索は技術的に難しく、現在、進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1998年から2015年までの新聞記事テキストデータより、18年間の新聞記事データで使用頻度を検索するための形態素頻度リストを作成し、726語の基本動詞を選んで、活用形別の頻度を検索した。今年度は、これらの動詞と共起する主語や目的語として使われる名詞の頻度を検索してデータベースを作成する予定である。また、共起頻度が日本語学習者の基本動詞の習得に影響するかどうかを実験およびテストで実証する予定である。
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Causes of Carryover |
人件費が予定よりも安く上がったので、残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コーパス検索により算出された頻度をExcel上で整理するための作業に、人件費を使用する。
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Research Products
(25 results)