2016 Fiscal Year Research-status Report
英語圏、準英語圏における英語アカデミックライティング教育の実際調査とその応用
Project/Area Number |
16K13254
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江藤 裕之 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70420700)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アカデミックライティング / 英語教育 / 英語教授法 / カリキュラム / 英語学習支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の実施計画にのっとり、本年度は文献調査、及び関連文献資料のまとめを中心に行った。まず、研究に必要な基礎資料として、英語圏(主に米国)で出版されているアカデミックライティングのテキスト(最新版、必要に応じて旧版も)を可能な限り網羅的に収集し、その記述内容分析を行った。主なテキストはPublication manual of the American Psychological Association (2010), MLA style manual and guide to scholarly publishing (2008), MLA handbook for writers of research papers (2009), Turabian’s, A manual for writers of research papers, theses, and dissertations (2013), The Chicago manual of style (2010)である。分析は、論文構成、語学的側面、書式、引用、出版プロセス、統計、図表、研究法、倫理、法的知識の項目で各テキストの記述内容を比較し、それぞれの特徴を明らかにし、アカデミックライティングにおいて、どのような点が重視されているかをまとめた。 また、平成29年度、平成30年度に予定していた英語圏におけるアカデミックライティング指導の現地調査を前倒しして行った。具体的には、5月にイギリス・サリー大学を訪問し、倫理学担当のGeoffrey Hunt教授の協力を得て、サリー大学でのアカデミックライティング教育、及び論文執筆における倫理的配慮等についてヒアリングを行った。さらに、準英語圏としてマレーシアのマラヤ大学、プトラ大学、香港の香港中文大学、香港理工大学、香港科技大学、香港城市大学を訪問し、各大学の英語教育担当者に面会し、アカデミックライティングをはじめとする英語教育の実際についてのヒアリングを行い、併せて英語学習支援を行う部署を見学し、アカデミックライティングのワークショップやe-learning等、英語学習のサポートシステムについての情報を収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた文献資料の収集とその記述内容分析に関しては、ほぼ予定通り、満足のいく結果を得ることができた。しかし、上記の基本文献を教科書として使用するアカデミックライティグの授業で配布されるシラバス、配布資料の収集、及び、英語圏(主に米国)の大学や学術組織(学会、出版社等)が出している論文執筆ガイドライン等の資料収集が不十分であり、それを継続して行っていく。 現地調査に関しては、平成29年度、平成30年度に実施を予定していた分を前倒しして行ったが、さらなる現地調査(特に、英語教育担当部局の責任者へのヒアリング)が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、平成29年度は英語圏におけるアカデミックライティング指導の現地調査、また平成30年度は準英語圏におけるアカデミックライティング指導の現地調査を行い、アカデミックライティングのマニュアルがどのように活用され、どのような点に力点を置きつつ、アカデミックライティングの教育がなされているかをまとめていくつもりであった。しかし、文献、及びインターネット等による調査、及び、前倒しして行った現地調査の結果から得た示唆に基づき、本研究の成果をわが国の英語教育、それもとりわけ大学レベルの英語教育に応用するには、英語圏よりも、むしろ、準英語圏、及び非英語圏におけるアカデミックライティング教育の実態を明らかにする方が有効であるとの結論に達した。非英語圏は申請時の計画には入っていないが、東アジア圏の国と地域から、若干数の大学を対象校に加えたいと考えている、 その点を勘案し、英語圏におけるアカデミックライティング教育の調査と並行して、調査の重点を準英語圏、及び非英語圏、それも東アジアの国々における大学レベルでの英語教育に焦点を当て、アカデミックライティング教育の実際を調査していきたい。インターネットによる情報収集の他に、アカデミックライティング教育担当の教員、英語教育担当部局の責任者へ直接コンタクトをとり、ヒアリング調査、アンケート調査を行い、アカデミックライティング教育の実態を明らかにするための基礎資料を収集する。
|