2019 Fiscal Year Annual Research Report
Possibilities of non-native speakers as speech partner: A brain science approach
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16K13260
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木下 徹 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90177890)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学習者 / 母語話者 / スピーキング / 脳科学 / 不安・緊張 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度であったが、元々予定していた機材が使用できなくなり、測定装置の再選択と入手にも時間がかかり、予想外のコロナウィルスの影響が加わり、実験参加者の募集や、実験の遂行について、関係者の健康と安全への配慮もあり、当初の計画からは大幅な変更と縮小を余儀なくされた。 年度末ぎりぎりに実験を実施したこともあり、現時点での分析は極めて暫定的である。 第2言語習得、特に、スピーキング力の習得と発達に関して、社会において多くの人の抱く一般的なイメージとしては、練習のためのパートナーは目標言語の母語話者である方が、緊張するが、それにも関わらず、(非母語話者より)望ましいとされているように思われる。それを受けて、本研究では、主として、英語のスピーキングにおいて、パートナーが母語話者である場合と非母語話者である場合の心理的要因(緊張度)と脳活性状態を比較した。その際、(1)学習者とパートナーの性質と関係(パートナーが目標言語の母語話者か、学習者と母語が共通か、関係が教師ー学生的か学習者同士か、等)、(2)学習者がパートナーに対してもつ緊張感、不安感等の心理的感覚、および、(3)学習者の熟達度、目標言語の使用頻度等が、どのような影響を与えるかといった点にも留意し、測定手段としては、脳血流の測定装置と質問紙を用いた。 当初の仮説としては、英語母語話者がパートナーとなった場合の方が、緊張、不安の度合いは大きいと予想していたが、結果はそのような当初の予想を概ね支持し、母語話者よりも非母語話者のとの会話の方が、緊張度が低く発話が進んだように見えるケースと、その逆に、熟達度が相対的に高い学習者によっては、日本人パートナーとの方が不安・緊張が大きいように思われたケースがあった。後者においては、自分の英語が(言語的にどうであれ)英語母語話者の方が、理解力が大きいので安心だったという報告があった。
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