2018 Fiscal Year Research-status Report
第3言語学習者の言語コントロールと認知コントロールに関する横断的・縦断的研究
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16K13264
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
星野 徳子 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (70609841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SANZ Montserrat 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (30295745)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 第三言語 / 言語産出 / 認知コントロール / バイリンガリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
バイリンガルは一つの言語のみを使用する状況においても,両言語を活性化させた後,使用しない言語を抑制して発話を行うことが先行研究により明らかにされているが,これらの研究は,二言語を日常的に使用している人々を対象に行われてきた。本研究の目的は,習熟度が日常的に使用できるレベルまで到達していない第三言語で学習者が発話を行う時,発話に使用しない第一言語と第二言語をどの程度活性化させ,抑制しているのかを明らかにすることである。
2018年度は,スペイン語を第三言語として学習している,日本語を第一言語,英語を第二言語とするスペイン語専攻の学生を対象にした実験の線画命名課題データを分析した。その結果,スペイン語で線画命名課題を行った後に日本語で命名課題を行った場合,日本語での命名課題を最初に行った場合に比べると遅くなることが明らかになった。すなわち,第三言語であるスペイン語を発話する時には,第一言語の日本語を強く抑制していると考えられる。また,第三言語と第一言語との類似性が第一言語の抑制度合いに与える影響について検討するため,中国語を第三言語として学習している,日本語を第一言語,英語を第二言語とする中国語専攻の大学生を対象にした実験の計画を進めており,実験の刺激選定,プログラミングを行った。これまでの成果発表として,今年度は国内の学会と海外の学会で1件ずつ実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スペイン語実験の4つの参加者グループのうち,1グループ分のデータが実験機器の不具合により分析できないデータであることが発覚したため,1グループ分のデータを収集し直すこととなった。実験条件を満たす母集団が小さいため,データの再収集に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,スペイン語の再データ収集を終え,中国語の実験を実施する。また,認知コントロール課題のデータ分析も行い,発話に使用しない言語の抑制と認知コントロールの関係についても検討する。
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Causes of Carryover |
実験計画の遂行が遅れているため,参加者への謝金・学会発表の旅費が繰越しとなったが,データ収集を完了し,その成果を学会で報告する予定である。
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Research Products
(3 results)