2016 Fiscal Year Research-status Report
日本人英語学習者が不得手な目的格関係代名詞と関連構文の指導法開発
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16K13266
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
遊佐 典昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (40182670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 情浩 京都女子大学, 文学部, 准教授 (70513852)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 目的格関係代名詞 / 類似性の干渉 / 言語処理 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
英語の目的格関係代名詞は、関連する文法知識を得たとしても、外国語学習者には、瞬時にかつ正確に用いることができず、学習・指導が困難な文法項目であることが知られている。本研究は、この困難さの要因を、文処理研究における「類似性に基づく干渉」から解明し、それにもとづき教材や指導法の開発をすることを目的とする。さらに、「類似性の干渉」を関連する構文に応用し、英語の効果的かつ効率的な学習法を提案する。 研究初年度の今年度は、「類似性の干渉」が関与する領域を明確化するために、「類似性の干渉」に関する言語獲得、大人を対象とした文処理研究の文献調査を行った。調査した項目は (i) 関係節の「複雑さ」とは何かに関するために、関係代名詞の文処理に関する文献調査。 (ii) 「類似性」の概念の明確化するために、類似性に関与する素性に関する文献調査。(iii) 申請者たちが行った「類似性の干渉」に関する研究 (Ono, H., M. Obata & N.Yusa. (2013), Ono, H., K. Nakatani & N. Yusa ) を参考に、 「手がかりに基づく文解析(cue-based parsing)」にもとづく文処理研究の文献調査。(iv) 関係代名詞の第二言語処理に関する文献調査。(v) 指導法の開発に直接関わる言語入力の性質に関しする文献調査。(vi) 言語入力に関して、「外国語習得における社会性の役割」を脳科学から調べた論文を執筆し、国際的オープン学術誌 Frontiers in Human Neuroscienceに研究成果が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的格関係節の言語処理に関する基本的文献の調査を終えた。さらに、教材開発、教授法に係わる要因としての、言語入力に関する基礎研究として、日本手話を外国語として学ぶ場合の社会性の役割に関する論文を執筆し、国際的オープンジャーナルに掲載された。この論文では、入力を人間を介して提供する場合と、DVDを通して提供する場合は、左脳の下前頭回に相違が生じることを、fMRIを用いた実験から明らかにした。論文は、一ヶ月で1000件以上のアクセスが世界中からあり、言語入力に関する今後の研究の重要なデータを提供することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は文献調査を基盤とした基礎研究を終えたので、次年度以降は、目的格関係節の言語処理実験を行い、その言語処理実験を基盤として、教材、教授法の開発を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が、勤務校の学部長に選出され、学内公務が増加し学会出張が制約をうけた。その結果として、研究初年度は、学会での資料収集を控え文献調査を中心に行ったために、余剰金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究2年度目の平成29年度は、各種実験を行うのでその費用や、資料収集の出張旅費に使用予定である。
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Research Products
(11 results)