2018 Fiscal Year Annual Research Report
The studies about salvaging historical and cultural heritage as a form of psychosocial support
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16K13277
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 大介 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (50374872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正恵 石巻専修大学, 人間学部, 教授 (00211946)
Morris John.F 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (30220057)
上山 真知子 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (80344779) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心理社会的支援 / 歴史資料の救済・保全 / レジリエンス / 復興支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度の本年は、東日本大震災で被災した歴史資料の救済・保全活動の対象となった所蔵者を対象とした聞き取り調査の分析により、その類型化を図った。すなわち、(1)災害を不要な資料を整理する好機としてとらえる。(2)救出された資料や、先祖および郷里の歴史を再確認することを通じて、喪失の危機に直面していたアイデンティティを回復する。(3)被災前からの自家の歴史を通じた歴史・文化への理解と、それらを通じた交流関係を、被災を契機に発展させ、地域の再生に生かしていく。などである。これらの点は歴史学の研究者を中心に、活動の経験談として内包されていたが、PAC分析など臨床心理学の手法を用いることで、被災した歴史資料所蔵者にとって歴史資料保全活動が、2005年以降の国際的な災害・復興支援の枠組みとして提起された、被災者に寄り添い、日常に溶け込ませた形での支援を通じて回復を促す心理社会的支援(Psycosocial Support)として機能している可能性を明らかに出来た。一連の成果については、2018年7月の日本学術会議第一部会公開シンポジウム(仙台市)や、2018年12月11日のユネスコ「世界の記憶」主催のフォーラムでの招待講演を通じて、歴史・文化財分野を超えた、災害支援としての意義を有することを、国内外の枢要な関係者に普及することが出来た。論文としては2019年度中に公表される予定となっている。今後は、地域の歴史資料に多様な形で関わる市民ボランティアを対象とした研究を実施することにより、2016年の国連世界防災会議で提起された仙台行動枠組みで提起された多様なステークホルダーの参画によるリスク対応の実践としての歴史資料保全活動の可能性を検討することにしている。
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Research Products
(5 results)