2016 Fiscal Year Research-status Report
Creating a Basis of Comparative Historical Research among Japan, Korea and Vietnam through Examination of the Forms of Historical Sources
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16K13278
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桃木 至朗 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40182183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 智勝 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (10300972)
山内 民博 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40263991)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本 / 朝鮮 / ベトナム / 修史 / 公文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、前近代の日朝越三国における修史(歴史記述)および公文書様式の比較、英語・中国語を加えた5言語での成果発表などを通じて、本格的な日朝越三国の、三国及び世界の学界と結びついたかたちでの比較史研究をおこなうための、方法的な土台作りを図るものである。それは、研究対象の設定や使用言語の点で、従来の「東アジア世界論」や比較史一般を大きく変えようとしている。 計画初年度に当たる本年は、事前のメール等による打ち合わせにもとづき、各自が自己の分担領域での資料収集・分析を進めるとともに、7月に大阪、3月に新潟で研究会を開催した。大阪では各自の専門領域と研究の方向性の紹介を行い、新潟では蓮田(ベトナム)、川西(朝鮮)、井上(日本)がそれぞれ公文書を対象にした研究の進捗状況について報告を行った。比較という点では、井上が日本とベトナムの祭祀関係資料の比較を試みた点が特に新しい。また桃木はベトナムで中世ベトナム(大越)と朝鮮半島(高麗)の制度史の比較に関する雑誌論文掲載と学会発表を行ったが、どちらも歴史書を含む記録のありかたへの検討を背景としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大阪・新潟の研究会で、問題点の共有ができ、個々の分担にもとづく研究の進展も確認できた。一部で試みられた日越・朝越などの比較と合わせ、ほぼ期待通りの成果と評価できる。ベトナムでの井上の資料収集など、現地での資料収集もまずますの成果があった。修史の研究はやや不十分だったかもしれないが、他方で年度末にハノイで開催されたベトナム史・朝鮮史比較シンポ(学会報告欄参照。オランダの国際アジア研究所主催)に桃木が出席して多くの知見を得るなど、計画スタート時点で予想できなかった収穫もあり、2年目の展開に向けた準備状況としても、トータルで合格点がつけられるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の作業を各自継続するとともに、それぞれの対象に関する三国比較や、中国の原型との比較作業をより意識的に進める。 当初の予定通り夏季に大阪、冬季に新潟でそれぞれ研究会を開催し、研究発表・討論をおこなう予定であるが、それ以外でも、「現在までの進捗状況」欄でふれたベトナム史・朝鮮史比較シンポの知見やそこで形成された研究者のネットワークなどを利用して、より幅広い研究・討議を展開したい。また成果発表は多言語による報告書のほか、2018年6月にソウルで開催予定の、第2回ベトナム史・朝鮮史比較シンポでもぜひパネル発表を実現したい。
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Causes of Carryover |
研究そのものはほぼ順調に進展したが、当初想定していた研究管理のための恒常的なアルバイト雇用をとりやめその謝金が不要になったこと、現段階で必要な朝鮮史料が国内で十分入手でき、韓国渡航が不要になったことなどから、総額で余りが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
朝越比較史の国際シンポなど次年度以降に成果報告をすべき場所が増えたため、そちらの論文校閲などの旅費・謝金として使用する計画である。
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