2018 Fiscal Year Annual Research Report
A new principle of nomadic life: Examining the modern transformation of nomadic societies in Eurasia
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16K13279
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
江川 ひかり 明治大学, 文学部, 専任教授 (70319490)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遊牧社会 / 牧畜 / 土地法 / ユーラシア / トルコ / キルギス / モンゴル / 持続可能な社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近現代のトルコ共和国・キルギス・モンゴル国における遊牧社会の変容過程と社会・経済活動の現状および課題とを歴史学・人類学的視角から明らかにし、遊牧民が直面する問題解決の方策を提示することを目的とした国際共同研究である。 2018年度は第一に、5月の公開研究会で冨田敬大(人類学)が「現代モンゴルにおける都市と遊牧民のかかわり―畜産物とりわけ乳製品の利用に着目して」と題して報告した。 第二に、8月にウランバートルで開催された第7回アルタイ諸集団国際会議において、パネル「CHANGES IN NOMADIC LIFESTYLES AND THEIR FUTURE: THE COMPARATIVE STUDY OF NOMADIC SOCIETIES IN TURKEY, KYRGYZSTAN AND MONGOLIA」(座長江川ひかり)を組織し、研究成果を国際発信した。この中で冨田は、第二次世界大戦後のモンゴルにおける都市化の過程で地方の牧畜生産の基本単位となった農牧業共同組合(ネグデル)が1991年の民営化で解体されるまでの約40年間の土地法および農業協同組合関連法規定を分析した結果、前期は土地と資源の適正な利用が経済性を追求していたのに対し、1970年代前半頃を境に後期は環境の保全・管理を含む観点が重視され始めたことを明らかにした。松宮邑子(地理学)は、ウランバートル都市周縁部に形成されたゲル(テント)地区居住者が、都市移住後も家畜を飼育し続けたり、地方で遊牧を営む親族と畜産物を共有するなど家畜との多様な結びつきを保持していることを明らかにした。海外研究協力者のI.シャーヒン(歴史学)はキルギスにおけるボズユイ(テント)、T.アヨーシ(民俗学)はモンゴルにおけるゲルの歴史的変遷を報告し、本パネルは好評を博した。目下、本研究成果を英文書籍として出版する準備をしている。
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