2016 Fiscal Year Research-status Report
聖地共創時代におけるオタクの癒し空間に関する応用地理学的研究
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16K13297
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松井 圭介 筑波大学, 生命環境系, 教授 (60302353)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人文地理学 / オタク / 聖地 / 癒し |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は主に次の三点である。第一に,先行研究の探索と問題意識の共有を行いながら,研究視点の理論的洗練に努めた。関連分野の研究者とともに,地理学,観光学,社会学,人類学等専門分野に関わる文献サーベイ・資料収集を行った。具体的な作業として,既存の文献資料や各種メディアを利用して,アニメ聖地巡礼地におけるホスト・ゲストによる共創関係について,先行研究や既存の資料に基づき整理した。第二に,研究初年度のプレサーベイとして,ホスト側に対する調査:聖地景観およびイベントに関する聞きとり及び資料収集を行った。「Girls und Panzer」(以下,G&P)アニメ内で登場した商店街が所属する商店会(大貫商店会,髭釜商店会,永町商店会,曲がり松商店会)においてキーパーソンに対し,G&Pに関する活動内容やG&P放映前後の商店街の変化に関わる予備的な聞きとり調査を実施した。第三に,G&Pを目的とする来街者に対して,大洗町への来街頻度,来街時の行動(と回数を重ねる中での変化),来街意識などについて,聞き取り調査票作成のための予備調査を実施した。来街者の意識や行動が来街回数とともにどのように変化するのか,またそこで生み出される商店街の人びとたちとの交流,場所に対する意識とその変化について検証する。またG&Pに関わる二次創作の実態やSNSを介した情報発信に関わるデータを収集する予定である。これらの情報は次年度の本格的な調査の前に整理・分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度には,以下の研究計画を立てており,おおむね当初の計画通りに研究を遂行している。 1)先行研究の探索と問題意識の共有および巡検の実施:本研究課題にかかわる文献および関連資料の収集は順調に進んでいる。また連携研究者とともに国内(茨城県および沖縄県)における巡検を実施し,意見交換を進めた。 2)第1次フィールドワークの実施:茨城県大洗町を対象に,予備調査を実施した。次年度に本格的な調査が実施できる見込みである。 3)中間成果の発表と研究合宿の実施:沖縄県において合宿を実施し,意見交換を通して,次年度に向けての準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,収集資料の整理と理論的枠組みに関する検討をすすめるとともに,学術的な成果報告をめざす。本年度の予備調査に基づき,インテンシブな2次調査を実施し,研究成果を前述の理論的側面と合わせて,学術論文として公開する。 具体的な研究計画を以下の通りである。 1)収集資料の整理と理論的枠組みの提唱 2)現地調査の実施(9月および12月) 3)研究成果の発表 研究はおおむね順調に推移しており,研究計画に変更は生じていない。
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Causes of Carryover |
次年度に本格的な調査を実施するために,効率的な経費使用に努めフィールドワークに関わる経費を十分に確保したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年9月に本格的なフィールドワークを実施する予定である。その際には,アンケート・聞き取り調査票の作成や調査資料の整理・分析において調査協力者を雇用するとともに,研究成果の公開等において経費を使用する予定である。
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