2017 Fiscal Year Research-status Report
同性愛者の居住地選択と都市の変容―自治体による同性婚認定の影響を読み解く
Project/Area Number |
16K13298
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
吉田 道代 和歌山大学, 観光学部, 教授 (40368395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新ヶ江 章友 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 准教授 (70516682)
福田 珠己 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (80285311)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 同性パートナーシップ / 同性婚 / セクシュアリティ / ホーム / 自治体 / LGBT |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度には、同性パートナーシップ制度および地理学のホームの概念に関する学術論文を中心に収集・調査し、暫定的な結果を展望論文として公表した(福田)。また、サンフランシスコおよびシドニーでフィールド調査を実施した。サンフランシスコでは、LGBT歴史博物館およびカストロ地区の文化遺産ツアーに参加し、セクシュアリティの表象について調査した(福田)。シドニーでは、2017年12月に同性婚が法制化されたため、これについての社会的な反応および当事者の意見を探った(吉田)。 日本における自治体の同性パートナーシップ制度については、導入した6自治体および同性愛者11人への聞き取り調査を実施し、同制度についての考えおよび居住地選択への影響について探った(新ヶ江・吉田)。6自治体のうち東京都渋谷区は同性パートナーシップを条例化したが、その他の自治体は要綱として制度化しており、同性愛者に対する差別の実質的な撤廃よりはセクシュアリティの多様性を承認する姿勢を示すという象徴的な効果を重視していた。同性愛者11人への聞き取り調査の結果は、同性パートナーシップ証明は自分にとって利益を感じられないという意見が多く、居住地選択については、職場や学校との距離の近さが重要で、同性パートナーシップの条例・要綱があるという理由でその自治体に住みたいと答えた人は11名中1名であった。本年度の調査結果に基づき、次年度には、同性愛者を対象とした定量的調査も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の当初の計画からおおむね外れることなく進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
同性パートナーシップに関して、同性愛者を対象とした聞き取り調査を継続するとともに、定量的な調査の実施も検討している。
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Causes of Carryover |
本年度に予定していた東京での聞き取り調査が、大阪での聞き取り調査に変更され、残金が生じた。これについては、次年度に聞き取り調査のための出張(旅費)に使用する予定である。
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