2017 Fiscal Year Research-status Report
エスノグラフィを援用した課題解決手法構築に向けた人類学的実践の再帰的研究
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16K13300
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 周平 筑波大学, 人文社会系, 助教 (10512246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 泰信 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (40369864)
内藤 直樹 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (70467421)
門田 岳久 立教大学, 観光学部, 准教授 (90633529)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 開発・援助 / エスノグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年7月に第1回研究会を行い、前年度の成果について共有するとともに、29年度の研究計画について議論した。そこでは(1)大学の夏季休暇中に実施される、メンバーの鈴木(研究協力者)が参加する京都デザインスクールに参加し、そこで行われるエスノグラフィ調査について調査すること、(2)秋に日本文化人類学会が行う公開シンポジウムに参加すること、(3)大学の春期休暇中に木村(研究代表者)の調査地である大船渡市を訪問し、木村の「フィールドワークをフィールドワークする」ことが決まった。この研究会には仁愛大学の早川公氏にお越しいただき、つくば市北条と宮崎市におけるまちづくりに関する研究と実践について発表をしていただいた。早川氏は本科研の趣旨に賛同し、今後研究協力者として関わっていただけることになった。 9月には予定通り京都デザインスクールでの調査を行い、ここには鈴木のほか、木村、伊藤、内藤、早川が参加し、デザインの分野における、短期的な発見的手法としてのエスノグラフィの手法について理解を深めた。 11月には日本文化人類学会の公開シンポジウム「明日を拓くエスノグラフィー:混迷の時代の課題発見と解決」が開催され、門田・木村が司会をつとめ、内藤と鈴木が登壇し、その成果を報告した。伊藤、小西もフロアからディスカッションに参加した。このシンポジウムは社会的問題発見と課題解決のツールとしてエスノグラフィを捉えるものであり、本科研の目的と重なるところが大きく、本科研の中間成果的な意味合いも兼ねていた。加えて同時期に日本文化人類学会の2018年度の研究大会でのセッション企画に応募し、無事採択された。このセッションは科研の成果報告として実施することを予定している。 春休みの大船渡市での調査は残念ながらメンバーの日程が調整できず見送りとなったが、29年度中に成果発表をすることができたので、一定の実績をあげたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研は当初より予算が計画の半分程度にまで削減され、そもそもの計画の見直しを迫られるところから出発した。3年計画の中間年である本年度は、当初の計画では東京大学i-schoolと大船渡市での調査を行う予定であった。東京大学i-schoolは京都デザインスクールに変更のうえ、実施することができ、エスノグラフィの実践・活用についての知見を得ることができた。しかしそれに対して大船渡市での調査は日程が調整できず実施できなかった。この点で予定通り遂行できているとは言えない部分がある。 だが他方で、当初計画していなかった日本文化人類学会の公開シンポジウムの企画が持ち上がり、そこで多くの聴衆に向けて成果報告し、また意見交換できたことは、本科研にとって大きな成果であったと言える。この両方を考えれば、本科研はおおむね順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は最終年度となるので、計画に従って調査を行うとともに、本科研で行ったことを取りまとめ、今後の展開に向けての議論を積み重ねることを予定している。 平成30年度の調査としては、予定通り、内藤が徳島県で学生と共に行っている地域連携型の「フィールドワークについてのフィールドワーク」を実施する。 成果の取りまとめとしては、6月に開催される日本文化人類学会で分科会を行うとともに、成果出版物についての計画を具体化する。そのうえで、次年度以降の研究の展開のために新たな科研への応募を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度計画していた大船渡市での調査が、メンバーの日程が合わず中止となったため未使用額が生じた。次年度の合同調査、および、学会発表時のコメンテーター招へい等に使用する予定である。
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Research Products
(21 results)