2019 Fiscal Year Annual Research Report
A trial study on development of assistive technology with cultural anthropology for the elderly with dementia and mental disorders
Project/Area Number |
16K13309
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
間宮 郁子 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究員 (30455381)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 福祉機器 / ICT・IRT技術 / 認知症高齢者 / 精神障害者 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、先端技術(ICT:情報通信技術、IRT:ITとロボット技術を組み合わせた技術等)を用いた支援機器開発において文化人類学的調査手法(参与観察)が注目されているが、学際的な有意義な連携は確立されていない。本研究は、文化人類学的手法を用いた調査を行い、認知症高齢者、精神障害者の病いの経験と、ICT・IRT技術導入による社会生活のリアリティを分析する調査を行う。加えて、国際生活機能分類(ICF)を参照しつつ、福祉機器開発に携わる工学研究者らと共有できるよう、概念枠組みを作成する。 在宅の認知症高齢者(認知機能低下高齢者を含む)を対象とした調査では、コミュニケーションロボット利用者19名の協力を得た。分析の結果、自分を気にかけてくれる対象としてロボットがいること、記憶の混乱、時間の分断があっても、思うように対話ができ、対象(ロボット)との時間を気持ちよく過ごしていることが明らかになった。精神障害者の支援機器開発は想定より拡大しなかったため、体験者がなく、使用したい機器について就労支援施設に通う精神障害者7名へ聞き取る形で調査を行った。平行して行った生活に関する現地調査も加えると、現実世界と自分自身の世界との往来の制御を中心に、仕事や人間関係を維持継続できる支援機器への希望があることが分かった。 続いて、工学、作業療法学、介護専門職等とのフォーカスグループディスカッションを行い、以下の2点をまとめた。①文化人類学の研究手法や視座は、支援機器の有用性を確認する地域での実験等で、社会資源や介入点の分析、進め方の提案等に有機的連携の可能性がある。②文化人類学の研究成果は、本人の生活世界から見た支援機器の描写、生活の質的変化の分析において、有機的連携の可能性がある。最後に、概念枠組み作成の試みとして、認知症高齢者の事例を、ICF(2017年改訂版)を用いて整理した。
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