2017 Fiscal Year Research-status Report
台湾における「視障按摩」の興隆を事例とした「視覚障害者文化」に関する人類学的研究
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16K13310
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
木村 自 立教大学, 社会学部, 准教授 (10390717)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 視覚障害者文化 / 台湾 / 盲人按摩 |
Outline of Annual Research Achievements |
夏季休業期間中(8月1日から8月14日)に、台湾において現地調査を実施した。まず、研究協力者2人(広瀬浩二郎および松本義和)とともに、台湾の視覚障害者の文化に関連する施設の視察を実施した(8月2日から5日)。8月3日には台中の台中啓明学校において視覚障害者教育・特殊教育の現状について視察および聞き取り調査を行うとともに、台中市にある台湾美術館において、同美術館研究員趙欣怡氏の帯同のもと、ユニバーサルデザイン展示に関する活動を見学した。8月4日には新北市にある盲人重健院において、同院張自院長、呉宗遠教育主任から、同院における視覚障害者教育および視覚障害者按摩の現状に関して聞き取り調査を実施した。また、8月5日以降は、台北市内の視覚障害者按摩の施設において聞き取り調査および参与観察を実施した。とくに、中華視障安養福利協会において、王会長にインタビューするとともに、同協会が運営する視覚障害者按摩店舗の従業員からライフヒストリーを聞き取った。台湾においては、按摩業に従事することで晴眼者と同程度がそれ以上の収入を得られること、そのため按摩業への参入が成功者としての視覚障害者アイデンティティの確率に結びついていることが分かった。
平成28年度および平成29年度に実施した調査の結果を踏まえて、10月14日、15日に香港中文大学で開催されたThe East Asian Anthropological Association (EAAA)に参加し、「An Emergence of Blind Culture?:Socio-Cultural Contexts of Proliferation of Blind Massage in Taiwan」という研究報告を行った。
平成30年3月12日から15日には、台北において視覚障害者の按摩事業に関する補充調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
勤務校の変更に伴い、平成29年度に刊行を予定していた研究調査報告を刊行できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度、平成29年度の調査結果を踏まえて、6月9日に視覚障害者関連の会議(4しょくかい)において報告を行う。日本の視覚障害者の文化とアイデンティティを模索する同会議は、平成30年6月9日に、按摩を含む視覚障害者が伝統的に担ってきた職種への依存/からの離脱について検討するシンポジウムを開催し、同シンポジウムに登壇して、日本の視覚障害者との意見交換を行う。
夏季休業期間中に再び短期間の調査を実施する。台北の中華視障安養福利協会および同会が運営する店舗を中心に聞き取り調査を行う。なかでも、顧客が何ゆえ視覚障害者の按摩施設を選択しているのかについて、顧客および按摩士へのインタビュー調査を行う。
研究成果については、立教大学の研究紀要『応用社会学研究』に投稿する。
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Causes of Carryover |
平成30年度3月12日から15日に実施した海外調査について、次年度精算にしたため。
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Research Products
(1 results)