2016 Fiscal Year Research-status Report
南洋群島の法と司法に関する実証的基盤研究―日本近代法史の再定位を目指して―
Project/Area Number |
16K13314
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小野 博司 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (70460996)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 南洋群島 / 司法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、1)南洋群島における法と、帝国日本の他の地域との法令との比較分析、および2)南島庁法院で「司法官」として勤務していた者の履歴調査を行なった。 1)は、南洋群島における法と、帝国日本の他の地域(日本、台湾、朝鮮)の法の種類および内容については比較分析することを通じ、南洋群島における法の、帝国日本の法制における位置づけ及びその特徴を明らかにすることが目的である。具体的には、『内外地法令対照表』(昭和16年)等を用いて対応関係を明らかにしたうえで、内容の比較分析を行なった。 2)については、当初、南洋群島で活動した「弁護士」の履歴調査を行なっていた。しかし、文献調査を重ねても「弁護士」として活動した人物の手がかりを得ることが全くできなかったため、調査の範囲を「司法官」(判検事)にまで拡大した。具体的には、職員録等を通じて「司法官」の氏名を確認したうえで、「渡島前の経歴」、「離島後の経歴」を調査した。調査の結果判明したのは、以下の2点であった。1)渡島前の経歴に、共通点は見いだせない(特定の機関所属者の「順送り」人事ではなく、「一本釣り」人事であることが推測される)。2)南洋群島「司法官」の人事異動はほとんど見られない(一度渡島した者は、長期間にわたって南島郡島において「司法官」として勤務している)。2)については、他の外地(台湾、朝鮮)の「司法官」においても見られる点であり、「外地司法官」という枠組みでこれらの人物を分析することができるのではないかと構想した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、当初の以下の研究を実施することを計画していた。 1)南洋群島における法と、帝国日本の他の地域との法令の比較分析 文献資料を用いて、南洋群島における法と、帝国日本の他の地域(日本、台湾、朝鮮)の法の種類・内容の比較を行なう作業については順調に進めることができている。 2)南洋群島で活躍した「弁護士」の履歴調査 南洋群島において、「弁護士」として活動した者の履歴調査については難航している。様々な文献資料を調査しているものの、現在のところ「弁護士」として活動していた者を確定することができていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の理由から、平成29年度以降は、「弁護士」の履歴調査を継続しながら、「司法官」の履歴調査を併せて行っていきたいと考えている。「司法官」の履歴調査については、今年度構想した「外地司法官」という枠組みの有効性を検証するために、他の外地(台湾。朝鮮)の「司法官」の履歴との比較を行ないたい。
|
Causes of Carryover |
書籍代に差額が生じたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の書籍費として使用する。
|