2018 Fiscal Year Annual Research Report
Family Law Disputes of LGBT People in East Asia and their Theoretical Analysis: Focusing on Post-Structuralism
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16K13325
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 邦彦 北海道大学, 法学研究科, 教授 (00143347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 紀子 東北大学, 法学研究科, 教授 (40114665)
鈴木 賢 明治大学, 法学部, 専任教授 (80226505)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 同性愛 / 性同一性障害 / 婚姻法 / 人工生殖 / 脱構造主義 / 多元主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)代表者吉田は、北米を拠点として、更に理論分析を進めることができた。本研究の理論的軸として、「脱構造主義」は、ハリー教授によると、従来のフェミニズムの有力理論である本質主義的な女性中心的なフェミニズムは「文化的フェミニズム」で、また支配抑圧構造で見ようとするフェミニズムは「権力フェミニズム」で、いずれにおいても性的役割論が控えていて、性志向を柔軟化するLGBTに適合的な理論は、脱構造主義的方向に行くが、そうなると、男性中心的なフェミニズムとの兼ね合いなどが課題となる。 また関連問題として、LGBTを包有する家族法のあり方を模索して、私的選択を重視する「私的秩序づけ」(private ordering)、さらには近時有力な「多元主義」(pluralism)の是非を検討した。しかしいずれにおいても、新古典派的な経済的な強者支配の世界となり問題があり、弱者のLGBT関係者保護のための公平な「自律」「平等」実質的実現による限界付けのためのデフォールトルールのあり方を課題とした(その際に、参考となったのは、UBCのアロニ准教授の作品である)(同准教授との議論は、2018年11月に行った)。関係契約理論の制度主義的な見方のここでの応用ということになる。
(2)さらに、アメリカでのLGBTリーダーズ会議に参加し(2018年12月)、とくにエイズ感染などの同性愛者の医療事情の改善、その差別問題の解消、同性愛者の高齢者問題などの検討を更に進めた。
(3)分担者鈴木は、日本での同性愛者の婚姻制度の実質的推進のための草の根の活動、また先進国の台湾での取組みの比較でのわが国の課題を考究した。分担者水野は、社会の多様化との関係での婚姻制度を含めた家族制度のあり方を考究した。
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