2016 Fiscal Year Research-status Report
市町村選挙のランダムなタイミングを利用した、投票率に関する因果推論
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16K13340
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
福元 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50272414)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自然実験 / 月齢 / 統一地方選挙 / 選挙権年齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 データ収集・入力 (1)市町村選挙の男女別投票率データ:本科研開始時に入手済みの、30府県のデータについては、入力を済ませた。残りの17都道府県にある各市町村の選挙管理委員会事務局に対する照会は、まだ1割弱収集が済んでいない。(2)道府県議選挙の市町村別・年代階層別投票率データ:44の道府県の選挙管理委員会事務局に対する情報開示請求を終えた。データ入力は一部の変数についてまだである。 2 データ分析 データ収集・入力は完了していないため、以下で報告する結果は全て暫定的なものであることをお断りしておきたい。(1)投票率の男女差は月齢に影響されるか:線形円周モデルを用いて、日本の市町村選挙における投票率の男女差(被説明変数)を月齢(説明変数)に回帰した。結果としては、投票率の男女差は平均2.7%のところ、新月の頃は2.5%に下がり、満月の頃は2.9%に上がることがわかった。 (2)20歳(台前半)の投票率が高いのは人生初の選挙だからか:若者の投票率が低いことはよく知られているが、実は20歳の投票率は20歳台前半と比べて高い。自然実験を利用した分析結果によれば、選挙が初めての人が0%から100%に増えれば、投票率は約8%上がる。つまり、初めての選挙だから投票に行くが、2回目以降は(1回目の経験に幻滅するためかどうかわからないが)投票に行かないという若者が、それだけたくさんいる、ということがわかった。なおこれは当時私が指導していた大学院生だった庄司真綸子氏との共同研究である。 (3)統一地方選は投票率を上げるか:予想に反して、統一地方選の方がそうでない場合よりも投票率が約7%低いことがわかった。 (4)首長と議会の同時選挙は投票率を上げるか:首長については、予想通り、同時選挙の方がそうでない場合よりも投票率が約4%低いことがわかった。議会については有意な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集・入力が完成していないので、理想的な状態とまでは言えないが、手元にあるデータを用いた予備的分析は進んでおり、今後データが完成してから行う分析と結果が大きく異なると予想する特段の理由がないため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、まだ収集・入力が未済のデータを終わらせる。 次いで、分析をファイナライズする。 最後に、学会で成果を報告し、順次国内外の学術雑誌に投稿する。既に2017年5月21日に香川大学で開催される日本選挙学会研究会でポスター報告すること、6月20日に国立国際医療研究センター・グローバルヘルス政策研究センター(iGHP)のランチョンセミナーで講演すること、は確定している。
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Causes of Carryover |
2016年度は、研究補助のアルバイトを依頼しようと思っていた方が、諸般の事情により急遽できなくなってしまい、またそのことが確定するのに数ヶ月かかったため、代わりの方を見つけることが年度内にできなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
なお2017年度は5月から新たにアルバイトをしていただける方を既に見つけたので、順調に研究補助をしていただけると考えている。また学会報告も国内で2回、海外で3回、それぞれ行うことを計画している。
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