2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K13343
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 一人 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (60334025)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国連 / 経済制裁 / 核不拡散 / イラン核合意 / 国際秩序 / NPT |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究では輸出管理をめぐる枠組みの研究を継続すると同時に、激動する朝鮮半島情勢をめぐって、国連の北朝鮮制裁の枠組みが大きく変化し、その変化に対応するための考察を続けてきた。これらの研究は論文として発表するには時間が短く、しかしながら、速報性が求められるだけに、学術研究よりは様々な論壇誌やウェブ媒体などを通じた研究発表が中心となった。 そんな中で『月刊治安フォーラム』において「機微技術の輸出管理をめぐる諸問題」を発表し、また『生活経済政策』では「国家の水際化」と題する論文を発表し、グローバル化が進む世界において、制裁を実施するために国家が水際で対応せざるを得なくなっていく現状分析の枠組みを提供した。 また、日本政治学会において「国際政治における不確実性とリスクへの対応」を報告し、政治学の分野で核拡散のリスクなどに対応するための方策として制裁が実施されていることを分析する枠組みを提供した。さらに、日本原子力学会において「安全保障貿易管理を通じた核不拡散の取り組みと国連による核拡散に対する制裁」を発表し、イラン、北朝鮮における核拡散に対する国連制裁の現状についてを報告した。 さらには、国連金融制裁研究会において、「国連イラン制裁の金融制裁について」を報告し、国連において金融制裁を実行することは権限上制限があるが、すでに実施されている制裁の中でも資産凍結の難しさや、名義変更・フロント企業を使った制裁逃れの事案が多発している状況を説明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、平成29年度は北朝鮮に対する国連制裁と加盟国の独自制裁について重点的に検討してきた。朝鮮半島をめぐる情勢が急変する中で、平成29年度は北朝鮮に対する制裁枠組みが大きく変化する時期でもあったため、新聞や雑誌、テレビ・ラジオ番組など、研究業績以外にも社会的な貢献として本研究に基づく知見を発表する機会が多数あった。また、北朝鮮制裁に関連する関係各府省との意見交換の機会も多数得られ、予想以上の成果もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は本研究の最終年度に当たるため、これまでの研究のまとめを進めると同時に、国連制裁に関するいくつかの研究発表を予定している。すでに東信堂から国連金融制裁に関する図書が出版される予定だが、その一部に共著者として参加し、国連のイラン制裁に関する部分を担当する。また、英語での論文発表も検討しており、京都大学の浅田正彦先生が編集する図書にも英語論文を掲載する予定である。同時に、激変する北朝鮮情勢を踏まえて、国連制裁の在り方がどのように変化したのかを引き続き検証し、ニューヨークの国連本部において北朝鮮制裁専門家パネルのメンバーとも会合を持つことを予定している。
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