2019 Fiscal Year Annual Research Report
Long-term growth, demography, and natural selection
Project/Area Number |
16K13353
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀井 亮 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90324855)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経済成長 / 技術進歩 / 選好 / 土地 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年に引き続き、産業革命期以前・以降両方の経済成長を記述するのに適当である、土地を含んだ経済成長モデルを研究した。従来一般的に用いられている、資本と労働のみからなる新古典派成長モデルでは、長期における定型的事実と合致していない点が幾つかある。例えば、すべての技術進歩は労働増加的でならないという制約があるが、それはデータに反する。こういった点について、土地をマクロ経済モデルで明示的に扱うことで定量的にデータと合致するかどうかを数値解析により分析した。
さらに、消費者の選好に注目した研究も行い、近年のコロナショックのように、流動性ショックが起こると、経済主体が学習プロセスに主観的なショック確率を更新するようなモデルを構築した。この場合、ショック後に流動性保有への選好が増加するため、消費は低下することになる。それにより、マクロ的消費・生産が低下し、回復に時間がかかるというプロセスを説明することができた。Ryo Horii and Yoshiyasu Ono (2020), "Financial Crisis and Slow Recovery with Bayesian Learning Agents," ISER Discussion Paper 1085, として発表した。
これらの研究や、関連するトピックにつき、ワシントン大学セントルイスで開催されたSociety for Economic Dynamics学会 (米国)などで報告を行った。また、社会貢献として、一般市民向けに関連研究を紹介する活動も活発に行った。消費者の効用関数(特に時間選好率)の重要性を示すため、国立大学共同利用・共同研究拠点協議会「知の拠点セミナー」や、報道機関メディア関係を対象とした懇話会などでの講演も行った。それに加え、新聞や、一般市民向けの経済雑誌においても、当該分野の研究の認識と社会への応用を促すため、複数の記事を執筆した。
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