2016 Fiscal Year Research-status Report
中国における所得の分極化とその経済成長・社会安定性との関連の解明に向けて
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16K13358
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
秋山 太郎 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (40167854)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 所得分配 / 分極化 / 経済成長 / 犯罪 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
(ⅰ)既に保有していた8省分のデータに加えて甘粛省のデータを新たに入手し、北京、広東、浙江、安徽、遼寧、河北、四川、陝西、甘粛の9省について、2002年から2009年について分極化の指数を推定した。Urban Household Surveyに含まれる、家計の総所得、可処分所得、賃金所得など様々な所得、家計構成員の1年間の総労働月数、個人別の賃金所得などの様々な項目を利用し、家計の可処分所得、家計構成員一人当たりの月平均賃金、個人の賃金所得などについて、DER指数、FW指数等を推定した。DER指数については、ほとんど横ばいとなっている。可処分所得のFW指数は、工業化の先進地域である広東・浙江省が他の省と比して高く、また強い上昇傾向がみられた。また、全ての省について、月平均賃金・個人ベースの賃金所得のFW指数は可処分所得のFW指数よりも高い値であった。 (ⅱ)Urban Household Surveyに含まれる国有企業・非国有企業の勤務先などの属性の情報を利用して、外生的なグループ分けが与えられた場合の分極化の尺度であるER指数を推定した。また、Urban Household Surveyの部分サンプルに基づくChina Household Income Projectのデータを用いて、共産党員―非共産党員のグループ分けに基づいてER指数を計算し、さらに、Zhang and Kanbur(2001)によって提案された方法による分極化の測定も行った。その結果、共産党員‐非共産党員のグループ分けについては、分極化の有意な上昇傾向は見られなかった。 (ⅲ)平成29年度に行う省別パネルデータを用いた経済成長や犯罪と所得分配の間の関係の分析のための準備として、コントロール変数についてのデータ収集をおこなうとともに、『検察年鑑』等を用いた省別の犯罪発生率の計算を行った
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国の研究協力者との連携の下、当初予定していた作業を進めている。既に保有していた8省分に加えて、28年度中に新たに甘粛省のデータをも利用できることになったのは、予定外の幸運であった。また、海外の研究者にとっては障壁が高い犯罪発生率についても、中国の研究協力者が大学院生を動員することによって、データ化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
中国国家統計局の協力して、今年度分極化の分極化の計測を行った省以外についても、分極化の計測を行う。さらに、今年度作成した犯罪率のデータ等と組み合わせて、省パネルデータを作成し、経済成長や犯罪と分極化との関係の分析を行う。
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Causes of Carryover |
勤務との関係で、予定していた国外出張を行えなかった。そのため、国内出張1回分相当の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額45156円は、旅費として支出を行い、28年度に行えなかった国内出張を行う。
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Research Products
(2 results)