2017 Fiscal Year Annual Research Report
A study about inequalities in suicide risk
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16K13359
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
池田 真介 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (90598567)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自殺 / 動学パネル / オプション理論 / ジニ係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の前身である若手(B)課題番号24730203で着手した自殺のオプション理論の論文を学術雑誌に投稿したが、各労働者が抱く、賃金や人的資本といった経済的な富のある理想値が、時間を通じて一定である、との仮定に批判が集まった。これに対する対応として、理想値の時間に応じた変化を表現できるようなパラメーターを追加し、GMMで推定することで、モデルが生み出す自殺率と実際の自殺率が整合するよう修正中である。
また、前述科研費課題で構築した自殺の市区町村別地域パネルデータを、次の2点で拡充した。(1)昭和50年から平成27年までの都道府県地価調査時系列(国土交通省による公表)から、(a) 全国市区町村の地価と、(b) 市区町村内の調査対象家屋の道路までの距離に関するデータを抽出し、上記パネルデータに統合した。(2)収入・消費・貯蓄・負債の4変数の市区町村内階級データから市区町村別ジニ係数を推定する手法として、前回報告書に記載したものより優れた手法であるvon Hippel, Hunter and Drown (2017, Sociological Science)が利用可能であり、Stataコードも活用できることを発見した。これに沿って上記4変数のデータの再処理を行っている。(1)については、災害データベースからのデータ抽出にはサーバー・プロトコルやAPIに関する深い知識が求められるため、次善策として災害確率を反映していると考えられる地価及び道路までの距離を用いることにした次第である。
ジニ係数をgenerated regressorとして回帰分析の説明変数として用いる際の理論的な課題、及びパネル分位点回帰の動学的な拡張、の2点については現在進行中である。差し当たっては両者を棚上げし、Powell (2016)の静学的なパネル分位点回帰を上述の拡張データベースに当てはめている。
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