2016 Fiscal Year Research-status Report
都市の空間構造と女性就業:GISと空間統計ツールを用いた解明
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16K13363
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河端 瑞貴 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (60375425)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経済政策 / 女性就業 / 地理情報システム(GIS) / 空間統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市空間において、女性の就業状況はどのように分布し、どのような影響を受けているのだろうか?本研究は、この問いに対して、地理情報システム(GIS)と空間統計を用いて分析し、女性就業の地域差とその要因についての新しい知見を与えることに挑戦する。 初年度である平成28年度は、まず、GISと空間統計手法を用いた女性就業の地域差を分析するフレームワークを構築した。東京都市圏の都道府県および市区町村別の年齢、配偶者の有無、子供の有無・年齢、教育水準等別の女性就業データを収集・加工し、分析用に整備した。これらの分析フレームワークとデータを用いて、東京都市圏を対象とした女性就業の地域差の基礎的分析を行った。 次に、GISと空間統計を用いた都市の空間構造と女性就業を分析するフレームワークを構築した。東京都市圏の空間構造に関するデータを収集・加工し、分析用に整備した。構築した分析フレームワークと整備した空間データを用いて、東京都市圏を対象とした都市の空間構造と女性就業の初期分析を行った。具体的には、東京都市圏内の女性就業の地理的格差の空間パターン、およびその空間パターンと通勤時間の関係を分析した。その結果、女性の労働力率および正規雇用率の空間パターンは、配偶関係および子供の有無により顕著に異なることが明らかになった。子供を持つ既婚女性の労働力率および正規雇用率の空間パターンは、未婚女性や子供を持たない既婚女性よりもクラスタ化しており、男性の通勤時間と負の関係があることも示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の通り、GISと空間統計手法を用いた女性就業の地域差を分析するフレームワークの構築とデータの整備、および東京都市圏を対象とした女性就業の地域差の分析を行った。さらに、都市の空間構造と女性就業を分析するフレームワークを構築し、東京都市圏を事例とした初期分析も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果を学会、ワークショップ等で発表し、フィードバックを得ながらいっそうの研究成果を図る。空間統計手法を精緻化する必要があるため、2017年6月にシンガポールで開催される空間計量経済学会大会で発表する。意見交換を行い、本研究課題の推進に役立てる。
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Causes of Carryover |
研究成果を発表する予定であった米国地理学会(AAG: American Association of Geographers)年次大会が、想定してた2017年3月(2016年度)ではなく、2017年4月(2017年度)に開催されることになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年4月の米国地理学会(AAG)年次大会に参加し、研究成果を発表する旅費に使用する。
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