2017 Fiscal Year Research-status Report
環境に関する規制の実効性と付随する罰則の執行力の経済分析
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16K13366
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 圭介 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (50411385)
神事 直人 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60345452)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境規制 / 罰則の執行 / 制度と環境 / ルールと資源利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年度に引き続き理論モデルの構築とその分析を進めた。特に、以下の項目について進めた。 (1)組織内の偽装と告発:組織内において不正が行われている場合に、それを内部から告発する(処罰する)インセンティブがあるかどうか、またどのような状況において告発がなされ得るかの考察を進めた。組織内の経済主体のアウトプットに差がある場合とそうでない場合とで、結果が異なってくることを明らかにした。 (2)外国市場への参入と環境規制:企業が輸出や直接投資によって外国市場に参入している状況において、一国のunilateralな環境政策の水準がcooperativeなそれとどのように乖離するかを明らかにした。既存研究と異なり、unilateralな環境政策の水準がcooperativeなそれよりも厳しくなる場合があることが示された。要因は、直接投資と輸出の両方を考慮に入れることで、外国企業の利潤を自国企業の利潤や税収として獲得する効果と汚染排出を自国から外国に移転する効果の大小関係が既存研究と異なる点にある。 さらに、以下の点について、理論モデルの構築に着手した。 (3)司法に携わる経済主体の行動を明示的に理論モデルに取り入れ、環境規制がどのように歪められるかを明らかにするべくこれらの経済主体の行動を考察を始めた。環境被害に関する司法判断がどのように実行されるかをモデルに取り入れることでもあり、罰則(賠償金など)の執行の水準が司法判断に依存している場合の分析である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、理論分析を進めることができた。また、新たなアイディアに基づいた理論モデルの構築を開始することができた。この点については、予定通りに進めることができたと考えている。 一方で、経済実験については罰則を取り入れた既存研究のサーベイとそれらと差別化した実験デザインに時間がかかっており、平成30年度に実行する予定となっている。このことが進捗状況の判断の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、これまで執筆した論文の公刊、現在進めている理論分析の学会発表を着実に行っていく。 また、経済実験を実施し、そのデータの整理・分析を行い、ディスカッションペーパーの形にまとめることを目標とする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた経済実験の実施が平成30年度の実施となったため、被験者への被験者協力金の支払い分が平成30年度となっている。 また、論文の執筆に少し時間を要したため、英文校正などのための費用が平成30年度の支払いとなっている。
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Research Products
(2 results)