2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research study on improvement of job awareness and qualitative management of care workers towards "Zero leaving job".
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16K13382
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
澤木 聖子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40301824)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 介護離職防止 / 超高齢社会 / 両立支援 / 働き方改革 / ワークライフケアバランス / 介護人材の不足 / ケアラーズカフェ / 在宅介護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2018年まで継続審議事項となった働き方改革法案の行方を注視し、研究終了年度を延長した。企業組織で働きながら在宅介護に従事する介護家族(以下ケアラー)にとり、働き方改革による就労環境の変化や改善がどのような影響をもたらすのかを検証する必要が生じたためである。 このことを受けて、ケアラーが勤務する企業組織が、介護休業や介護休暇のみならず、介護しながら働く従業員にどのような両立支援を実施しているかについて情報収集を行った。同時に、利用者とその家族の在宅介護に関わる介護職(以下ヘルパー)が在籍する3事業所の働き方改革の影響についてもヘルパー9名を対象にヒアリング調査を実施した。最後に、ヘルパーの支援を受けながら在宅介護を選択しているケアラーを対象に、現在の職務と介護の狭間で感じる苦悩や課題についてデプスインタビューを行った。 働くケアラー当事者、ケアラーが勤務する企業組織、在宅介護のための利用先の介護業者、大きく3つの立場から働き方改革の影響を検証した。その結果、企業規模によっては、両立支援策として時短勤務や在宅勤務の実質的導入は未だ運用が難しく働くケアラーの日常の負担が軽減されているとは言い難い状況が浮上した。働き方改革の効用は、働くケアラーではなく、人材争奪が続く介護業界で働くヘルパー職の処遇改善に見られた。例えば、残業にあたる夜間の訪問介護の職務を削減することにより、介護事業者がヘルパー職の定着を狙う目的で働き方改革を推進した結果、利用者である要介護者やケアラーにとっては、訪問介護の利用が制限され、仕事と在宅介護の両立をより難しくする傾向も見られ、介護離職を促す新たな要因となりつつあることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)