2016 Fiscal Year Research-status Report
企業・自治体の効果的支援を目指した仕事・育児・介護の三者間コンフリクトの研究
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16K13389
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田畑 智章 東海大学, 情報通信学部, 准教授 (00329103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 香織 実践女子大学, 人間社会学部, 准教授 (50362017)
伊波 和恵 東京富士大学, 経営学部, 教授(移行) (90296294)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ワークライフバランス / 三者間コンフリクト / 労務管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「仕事」「育児(子育て)」「介護」の三者間コンフリクトの特徴を明らかにし,その支援策を導き出すことを目的している.基本的方向性は,企業への質問紙調査等で該当者の存在やその増加率を明らかにしつつ,該当者へのインタビューから二者間のコンフリクトにはない三者間固有の特徴を把握することである.これらの結果,まとまった特徴をもとに,企業・自治体などへのヒアリングで育児や介護に対する支援の現状を踏まえながら三者間コンフリクトに対する支援策のあり方を考えていく. 平成28年度はデータ収集を中心とし,以下の6項目の調査・分析を行った.(1)「仕事」「定位家族」「生殖家族」三者間のコンフリクトとしての典型的な事例として仕事と育児(子育て)と介護の同時発生が存在し,晩婚化・晩産化の流れの中で今後大きな社会問題となる危惧があることを確認するために,政府統計等を調べた.(2)三者間のコンフリクトは仕事と育児,仕事と介護といった二者間のコンフリクトにはない固有の特徴が存在するという仮説を普遍的なものとするために企業に対して質問紙調査を行った.(3)三者間コンフリクトを抱えている対象者に対しインタビューを行った.(4)今後三者間コンフリクトを迎えるかもしれない大学生に対する意識調査を行い,仕事,育児,介護への選択の傾向や理由を把握した.(5)研究のバックグラウンドをまとめるため,WLB研究や社会学的な家族に関する研究についての文献レビューを行った.(6)企業や自治体などの制度設計および組織内整備のために労務管理に関する文献レビューを行った.また,企業や自治体などの組織に対し,育児・子育て支援の現状,介護支援の現状をヒアリングし,育児と介護が同時発生した際の対象者への対応(支援策)の状況を調査した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の中で記した6項目の調査・分析に対して,全般的に目標は達成されているものの,いくつか予定通りではない箇所もあった. まず(1)に対しては,政府統計を中心に調査したが,データが未整備であり,仮説を立証するのに十分ではない. (2)に対しては,3500件の調査目標を立てていたが,1割ほどしか達成できていない.これについては,早急に対策を立てないといけない. (3)~(6)に対しては,当初の予定通りの進捗状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,初年度に集められたデータの分析を中心とし,最終的な提案に至るまでに次の4項目の調査・分析を予定している.具体的には,以下の4項目を行っていく. (A)育児(子育て)期間の推移と介護を行う期間の推移のモデル化を行い,シミュレートすることでそれらの同時発生期間が増えていくことを検証し,さらに離職率を加えることでどの程度の社会的・経済的損失が発生するのかを分析する.(B)日本における三者間コンフリクトを抱えている(発生している)割合の推定を試みる。(C)三者間コンフリクト所有者へのインタビューの際の発言に対して,KJ法などの言語データ解析手法を用いて構造化し,二者間にはない三者間特有の特徴をまとめる.(D)大学生へのアンケートデータを分析することにより,今後三者間コンフリクトを抱えるかもしれない予備軍が二者間および三者間のコンフリクトに対してどのような印象を持っているのか,またどのように対処しようと考えているのかを明らかにする. これらの分析結果をもとにして,心構え・注意点など本人へ向けての直接的な支援のあり方,休暇制度など企業における間接的な支援のあり方,補助金やスタッフサービスなど国や自治体からの支援のあり方を検討していく.この間,学会発表では産業組織心理学会,日本応用心理学会,日本経営システム学会,日本家族心理学会などで適宜行っていくものとし,あわせてショートレポートを作成しながら国・自治体・企業に提言,啓発を行っていく予定である.
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Causes of Carryover |
企業・自治体アンケートの対象主体の選定,交渉が難航し,予定していたアンケートがほとんどできていないことによるもの.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
企業・自治体に対するアンケートの印刷費用,送付回収費用,謝金,および入所作業の外注に対して使用する予定.
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Research Products
(1 results)