2016 Fiscal Year Research-status Report
コンテンツと「食」による新たなマーケティング戦略の構築
Project/Area Number |
16K13397
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
増淵 敏之 法政大学, 政策創造研究科, 教授 (50511292)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プロダクトプレイスメント / マーケティング / クール・ジャパン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マーケティング戦略のひとつであるプロダクトプレスメントに注目し、海外での日本のコンテンツ伝搬の際の「クール・ジャパン」事業の文脈において、マンガ、アニメ、映画などの作品と「食」の関わり方の検証を行うことにある。ただマンガ、アニメ、映画に関しては商業的なプロダクトプレイスメントという手法に限らず、作者の個人的な趣味により「食」が作中に描かれることも多い。あくまでこれは偶発の産物であるが、それによりコンテンツと「食」のクロスメディア的な関係を分析、考察することによって日本のコンテンツの、海外への伝搬を戦略的に捉えることが可能なのかもしれない。そのため、以下の調査を実施した。また翌年度に実施予定の現地調査のための事前調査を当該年度で行った。 1.プロダクトプレイスメントの先行研究及び事例調査が当該年度の調査の中心であったが、ヒアリングを断わられた企業もあったが、コミックスウェイブを始めとして数社、ヒアリングを実施した。また文献調査も適宜、行った。また科研費とは別の予算で大連大学で「おにぎり」に関するイベントを実施、これも来年度の現地調査のために意味のあるものであった。特に現地の学生の「おにぎり」の認識はアニメからという意見が多かったことがもっとも印象的であった。この「おにぎり」は日本の「食」その一つの具体例だが、WEBで確認できるだけで「おにぎり」が登場するアニメ作品は50作品近くあったので、それも新たな発見であった。 2.現地調査のための事前調査を台北(東立出版、マンガ作家から情報収集)、バンコク(タマサート大学、在住日本人起業家から情報収取)で行った。翌年度、実施のアンケート調査並びにヒアリング調査に役立てたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず当初予定していた企業のヒアリングに数社、断わられた。やはりプロダクトプレイスメントに関してはナーバスになる企業があったということである。確かにマネタイズの手法に関して、対価が発生してるかに関しては口外したくなというのが本音であろう。しかし差し支えない範囲で数社には答えてもらったので、引き続きサンプルは増やしていこうと考えている。ただヒアリングが難しい領域であることもよく理解できた。 また海外での調査をひとりで実施するため、現地とのネットワーク作りが大変だった。これは現時点で充分な形が作れたかというともちろん完ぺきではない。翌年度の現地調査を効果的に実施するために、JETROや国際交流基金等の団体の力も借りるつもりである。 しかし当初の予定からすれば、当該年度の進捗状況は概ね順調といえるのではないだろうか。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を進めていて、このテーマは意外と奥行きと広がりを伴うものだという実感がある。現地での日本文化の普及の歴史的な背景や、文化の輸出という手法のモラリティの問題とかの存在が見えてきた。2016年は『君の名は。』『あの世界の片隅に』といったヒットアニメが生まれ、本格的な海外への輸出の方向が具体的に見えてきた年でもあった。そういう意味では本研究を企画した時点と、調査する時点では周辺環境に大きな差があるので、そこをいかに消化していくかが最大の課題であろう。しかし台湾、タイともに日本のアニメには高い安心をユーザーが寄せてくれているので、研究のモチベーションは上がっている。単にマーケティング研究にとどまらない政策的な視点にも言及できればと考えているが、ただ時間的な制限があるので、それは次回の研究機会に委ねる方向になるかと考えている。
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Causes of Carryover |
誤差の範囲かと思う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料購入に回したいと考える。
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Research Products
(2 results)