2018 Fiscal Year Research-status Report
医療経営における需用者視点の自費医療の評価と体系化にむけた出産前後自費医療の分析
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16K13398
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
菅 万希子 帝塚山大学, 経営学部, 教授 (10612989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 陽子 京都看護大学, 看護学部, 准教授 (80432318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 産婦褥婦ニーズ / WTP / 産後医療 / 自費医療 / 少子化対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の重要な成果は、2016年度の本研究で質問紙調査を行った出産前後4か月の妊婦褥婦に対し、コホート研究を行った結果の分析である。同じ調査対象者において、時期によりニーズが大きく変化すること、また、産科医療へのWTPも時期により変化することを明らかにした。本年度の産後約二年の調査では、仕事への復帰のニーズは増加している。社会で保育所の不足問題などで注目されている、出産後4か月以内の仕事への復帰のニーズはあまりみられなかったことと対照される。また、産後一年以内の褥婦の死因の第一位が自殺であるという問題に関連するが、産後約二年を経過した時点で、子育てに自信をなくしている割合が、出産後からの時間の経過でかなり増加していた。従って、出産後二年でもケアの必要な産後として捉えるべきであり、この時期に至るまで産後医療が重要であることが明らかになった。今後さらに時間の経過に焦点をあて、変化するニーズを詳細に分析する必要がある。WTPについては、産後の自費医療に対するWTPは低く、出産により変化したスタイルを回復するための医療以外へのWTPが高いという結果を得た。この結果の研究発表では、出産後のニーズのあり方が医療者に大きなインパクトを与えた。つまり、医療提供者が必要と考えて提供する産後医療と妊婦褥婦のニーズには乖離がある。時期によるニーズの変化を詳細に明らかにし、その変化するニーズを理解し、ニーズに沿った産後医療と、医療者が必要と捉える産後医療、社会が求める産後医療とが合致した産後医療を明らかにすることを、今後の研究課題としたい。これらの課題について2019年度に、パイロット調査を行った上で大規模調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2016年度に行った出産前後4か月の妊婦褥婦へのパイロット調査結果の分析から、2018年度に大規模調査を行う予定であった。しかしながら、次の2点から大規模調査計画デザインレビューのための時間を必要としている。1.出産後の時間の経過がニーズに大きな変化をもたらす。つまり、調査対象者が出産前後のどの時期にあるかによりセグメントして、割り付けする必要がある。そのためには、ニーズが変化する時期がいつであるか、分析しなければならない。2.数回の研究発表で、医療者から、リスク出産か通常出産であるか、経腟分娩か帝王切開による出産であるかが、調査結果に影響を与える可能性があると指摘を受けた。調査計画を変更し、質問項目に加えて追加でパイロット調査を行った上で、大規模調査を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
直近のコホート調査結果と分析について研究発表を行い、医療者の指摘を受けた上で、追加のパイロット調査を行う。具体的には、ニーズの変化とWTPの変化をもたらす時期を明らかにすることが目的である。また、臨床所見が、ニーズの変化やWTPの変化に与える影響も明らかにする。その結果を分析した上で、約1000名の妊婦褥婦に対する大規模調査計画をデザインし、実査を行い、出産前後の妊婦褥婦のニーズ及びWTPを明らかにし、需要される自費医療のあり方を発掘する。
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Causes of Carryover |
2018年度に行う予定であった妊婦産婦に対する大規模調査計画に変更が生じたため、次年度使用額が発生した。計画デザインの変更は、大規模調査計画に参照するために行ったパイロット調査で、出産前後の時期により、ニーズに大きな変化がもたらされることが明らかになったためにおこった。時期を区切って割り付けを行う大規模調査へと変更するためには、ニーズが変化する時期を特定しなければならないので、追加でパイロット調査を行う必要がある。また研究発表において、医療者からリスク出産であるか通常出産であるか、経腟分娩か帝王切開による出産であるかによって、ニーズに影響が現れる可能性があるとの指摘を受けた。よって、時期を明らかにする項目に加えて、臨床所見の項目も加えて、調査の精度を高める。調査回数が増えたため、予算の効率化をさらに検討する時間が必要である。2019年度では、追加でパイロット調査を実施し、その結果を参照して、大規模調査設計をレビューした上で、当初の予定通りに大規模調査を行う。以上の理由より、次年度に使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)