2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on local-orientation of national and public university students in regional areas
Project/Area Number |
16K13408
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
寺地 幹人 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (90636169)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地元志向 / 若者 / 国公立大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地方国公立大学の学生の「地元志向」について、現役学生への調査ならびに学生との対話から、検証することを目的とした。本研究の意義は、近年の地方国公立大学の教育に関して、主役である学生を置き去りにしないあり方についての議論に貢献する点にある。地方大学は昨今、地域との連携と地域貢献人材の育成をますます求められているが、社会のリーダーを特に多く輩出する大学の学生自身が、何をもってその地域で生活することを望み、それを選択するのかということが十分に検討されないまま、教育内容や研究事業を地域志向にすることが、大学改革の柱とされる傾向がある。そのため、「地元」概念に対する当事者(学生)の理解の仕方から検討し、実際の学生の地元志向を規定しているであろう複数の要因を総合的に検討する研究が重要だと考えられる。本研究は、「地元」概念を理解する際の論点整理から開始した。具体的には、「地元」の範囲や広がりの形式。「地元」の所与性、個人にとって複数存在するか否かとその場合の条件、などについて検討することが必要だと整理した。これは、既存調査の分析、学生へのサーベイおよびその結果についての学生相互のディスカッションを通じて行った。こうした「地元」概念の多面性を踏まえつつ「地元志向」の規定要因を考える必要があるが、最終年度は地域横断的にこれを検討する準備を進めたものの、多面性検討のフォローアップ調査や、複数の国公立大生の十分な比較について、COVID-19拡大の影響や調査協力の実現の問題等があり、事業期間中に当初計画を満たす成果には至れなかった。しかしながら前述の論点整理とそれによる「地元」概念や「地元志向」の検討の方向性を一定の成果とし、地方の若者について地域横断的に調査する近年の研究も踏まえつつ研究を継続し、必要な調査および学会発表・論文化等を通じた成果発信をできるだけ早期に実現することを目指す。
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