2016 Fiscal Year Research-status Report
南海トラフ大地震に備えた社会学的アプローチからの住宅復興-災害公営住宅に着目して
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16K13420
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山地 久美子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (20441420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北後 明彦 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30304124)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 南海トラフ大地震 / 阪神・淡路大震災 / 東日本大震災 / 熊本地震 / 災害公営住宅 / コミュニティ / 超高齢社会/人口減少社会 / 借上げ型公営住宅・家賃補助 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は阪神・淡路大震災、東日本大震災の復興において住宅再建、災害公営住宅、コミュニティの課題について社会学・建築学の視点から調査を進め南海トラフ大地震等今後の災害に備えた施策提案を行うことを目的としている。 災害公営住宅は被災者の住宅復興の「命綱」であることから、災害公営住宅入居後の経年によるコミュニティの変化や支援の状況について調査を進めた。阪神・淡路大震災被災地は災害から22年経過しているがこれまで調査がなされてきていない淡路市を中心にヒアリング等の調査を1年にわたって実施した。 東日本大震災被災地では災害公営住宅の整備が進んできているため、宮城県・岩手県において入居者、支援団体、行政へのヒアリングを実施した。 2016年4月には都市型・中山間地型双方の特性のある地域で熊本地震が発生したことから、現地での調査を行った上で、民間住宅借上げ型の災害公営住宅の提案を行ない、外国人被災者の住宅課題も検討した。さらには新たな課題として大型火災後の住宅入居に関連し糸魚川大火調査を実施した。 1年の間に研究会を4回、熊本地震現地調査報告会、外国人支援に関するミニシンポジウムおよび第2回全国被災地語り部シンポジウムin西日本の開催によって課題を明らかにし、研究を深めた。さらに、東日本大震災、熊本地震の被災地での意見交換、交流会、復興音楽カフェ・復興トークを実施することで地元の方々の声を聞き、実態と制度の双方の視点を調査研究に反映できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①「災害公営住宅入居に係る罹災証明・自治体毎の入居要件の課題」:東日本大震災の被災地において行政へのヒアリングを実施し、熊本地震被災地にて外国人居住者の災害後の住宅移行について調査を行った。 ②「災害公営住宅のソフト面拡充とソーシャルミックスの課題」:阪神・淡路大震災から22年経過した淡路市の被災地に通い、住民、行政、支援者へヒアリングを行った。次年度のアンケート調査実施に向けて準備を進めている。外国人居住者の災害後の住宅移行に関する調査実施に向けて準備を進めた。 ③「阪神・淡路大震災の借上げ災害公営住宅に残る課題と新たな施策」:阪神・淡路大震災の借上げ災害公営住宅の20年返還にかかる状況は、東日本大震災、熊本地震被災地の災害公営住宅の在り方に影響を与えていることから、新たな制度設計の検討を行っている。 ④「今後想定されるみなし災害公営住宅(戸別借上げ)・直接補助等の導入とその課題」:東日本大震災被災地で導入された戸別借上げ型災害公営住宅制度について行政へのヒアリング調査を実施した。 ⑤研究会、シンポジウムの開催:第1回「台湾の復興まちづくり」災害後の居住支援制度、第2回「仙台市あすと長町の災害公営住宅における住民主体のコミュニティ活動」、第3回「長野県北部地震(2011年)の被災地、長野県栄村の災害公営住宅の現状と課題」、第4回「熊本地震の被災地益城町における住宅再建、住民主体の復興まちづくり、コミュニティ活動」「熊本地震の現地調査報告会」、ミニシンポジウム「外国人支援と防災・減災への取組み~熊本地震の経験から考える」を主催した。復興コミュニティデザイン(宮城県仙台市)小集団住宅自主移転再建(同気仙沼市)について第218回神戸大学都市安全研究センターゼミナールを共同で開催した。神戸新聞、日本経済新聞ほかに全国被災地語り部ネットワークの取組記事が掲載されその重要性を社会に発信した。
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Strategy for Future Research Activity |
日本においては阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震被災地の調査および今後災害が予測される「未災地」において調査研究を進める。さらに、韓国、台湾、米国にいて現地調査を実施する。 ①「災害公営住宅入居に係る罹災証明・自治体毎の入居要件の課題」・②「災害公営住宅のソフト面拡充とソーシャルミックスの課題」:住民および行政へのアンケート調査・ヒアリングを実施し、現在の復興、今後の災害に向けた新たな制度設計提案を進める。さらに、外国人居住者の災害後の住宅移行に関する調査を行う。 ③「阪神・淡路大震災の借上げ災害公営住宅に残る課題と新たな施策」:これまでの制度の課題点、これからの制度に必要な点を調査、整理し、制度設計の提案を行う。 ④「今後想定されるみなし災害公営住宅(戸別借上げ)・直接補助等の導入とその課題」:新たに導入された制度の運用・現状を継続して調査し、今後の災害に備え必要な点を調査、整理し、制度設計の提案を行う。 ⑤研究会、国際研究会の開催:次年度は国内外の被災地の住宅復興、災害公営住宅、コミュニティの現状と課題について研究会を開催する。国際的な研究集会も開催予定である。
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Causes of Carryover |
調査地でのアンケートおよびインタビュー調査をこの1年かけて調整している。次年度の始めに調査の実施が決定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査地でのアンケートおよびインタビュー調査の実施に使用する。
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Research Products
(11 results)