2016 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者の尊厳を支えるケアの構成要素に関する研究
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16K13442
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Research Institution | University of Tokyo Health Sciences |
Principal Investigator |
内田 達二 東京医療学院大学, 保健医療学部, 講師 (00715170)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ケア / 認知症高齢者 / 尊厳 / デルファイ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,認知症高齢者の尊厳を支えるケア実践の内容とその構成要素を明らかにするものである。 平成28年度は,認知症高齢者の尊厳を支えるケアに関して,デルファイ法調査(第1段階から第3段階)を実施した。 (1)第1段階では,「認知症の方にとっての尊厳についてどう思うか」という自由記載のアンケートを実施した。40名のケア専門職(介護福祉士,介護支援専門員,看護師・セラピスト等)より回答を得た。741項目の回答を内容分析した結果,5カテゴリーの尊厳を支えるケア55項目が抽出された。また,介護福祉士,介護支援専門員,看護師・セラピストの3職種間で回答内容を検討したところ,職種間で回答に違いが認められた。(2)第2段階は,第1段階で抽出された尊厳を支えるケア55項目について,その重要度(5件法)と実施度(6件法)に関するアンケート用紙を作成し,無作為抽出した全国1200カ所の認知症高齢者の医療や介護に関わる施設(認知症疾患医療センター,介護療養型医療施設,介護保険施設,通所施設,小規模多機能型居宅介護施設等)と第1段階の回答者に,記名式のアンケートを送付して,電話にて事前説明を行い調査を依頼した。その結果,310名(回収率25%)より回答を得た。項目ごとに検討したところ,尊厳を支えるケアの多くの項目に関して重要との回答が認められた。(3) 第3段階は,第2段階のアンケートに関して項目毎に回答割合を算出し,回答者の回答を併記したアンケート用紙を作成し,第2段階と同一の回答者に送付を行った。現在,その回収がほぼ完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1段階,自由記載アンケートの回答より,尊厳を支えるケア項目を抽出するのに時間を要したが,その後の調査は,比較的順調に進んでいる。通常の無記名のアンケート調査と異なり,記名式のアンケート調査は回収率が下がってしまうが,今回は,310名(25%)より回答を得ることができた。アンケート計画としては,最終の第3段階まで送付は完了しているので,今後は回収を確実に行い,分析へとすすめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に行ったアンケート調査の結果から,尊厳を支えるケアに関する55項目について,現場の職員より肯定的な回答を得た。その一方で,尊厳を支えるケアに関して自由記載の意見を得ている。今後はそれらの内容を分析するとともに,国内外の文献を調査し,尊厳を支えるケアの構成要素につい考察を進めていきたい。また,尊厳を支えるケアに関する職種間の意識の違いについても明らかにしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年度は,主としてデルファイ法によるアンケート調査を実施し,その分析や成果の取りまとめの経費,学会参加旅費が計上できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度で主たる調査を終了した。来年度は,調査の分析ならびに成果報告に関して経費を計上する予定である。(1)アンケート調査の分析や取り纏め,報告の準備に関する経費,(2)研究成果報告や最新の研究動向を探るための国内外の学会への参加費,旅費等の経費
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Research Products
(1 results)