2016 Fiscal Year Research-status Report
生活保護バッシングの実態解明と克服に向けた実証研究
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16K13445
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
山田 壮志郎 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (90387449)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 貧困・公的扶助 / 生活保護バッシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「生活保護バッシング」の実態や生成要因を実証的に明らかにすることである。近年、生活保護制度に向けられる市民のまなざしは否定的な様相を強めている。特に、2012年に人気タレントの母親による生活保護受給が発覚して以降、生活保護制度やその受給者に対する攻撃的なメディア報道が広がった。 こうした報道は、実際の政策にも少なくない影響を与えた。2013年に成立した改正生活保護法は、扶養義務者への扶養義務強化や不正受給の罰則強化など厳格な内容を含んだ。また、同年には生活保護基準が過去に例をみない規模で引き下げられた。 このような、生活保護制度・受給者に対する否定的な態度(生活保護バッシング)がどのような形で広がっているのかを解明し、バッシングを解消していくための具体的な方策を考察することが本研究の目的である。 研究目的に接近するため、平成28年度は、一般週刊誌に掲載された生活保護関連記事のテキストマイニングを実施した。今般の生活保護バッシングの契機となった人気タレントの母親の生活保護受給問題は、週刊誌によってスクープされ、その後もこの事件を取り上げる記事や、生活保護制度やその受給者の現状について報じる週刊誌記事が相次いだ。2012年度を挟む前後7年間(2009年度~2015年度)に、発行部数20万部を超える一般週刊誌に掲載された生活保護関連記事を収集し、業者に委託して記事の全文をテキストデータ化した。得られたテキストデータをテキストマイニングのためのソフトウェアを用いて分析した。現在、データ分析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般週刊誌に掲載された7年間の生活保護関連記事は100記事に及んだが、年度内にすべての記事を収集し、テキストデータ化の作業、テキストマイニングを行うためのデータの整備は完了した。一方、当初の計画で予定していた一般市民を対象とした質問紙調査は実施することができなかった。平成28年度の研究によって得られた知見をもとに調査票を作成し、平成29年度に調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度の作業をもとにテキストマイニングを進め、論文にまとめる。また、そこで得られた知見と有識者へのヒアリングを踏まえて、生活保護バッシングの実態を把握するための調査票を作成し、調査業者への委託により、一般市民を対象とした調査を実施する。さらに、バッシングの解消に向けた方策を検討するための介入研究(一般市民および大学生)についても、業者委託により実施する。
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Causes of Carryover |
基礎的研究に時間を費やしたため、当初の計画で予定していた一般市民を対象とした質問紙調査を実施することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に実施した雑誌記事のテキストデータ化作業を踏まえ、テキストマイニング分析を行った上で、そこで得られた知見と有識者へのヒアリングを通じて、生活保護バッシングの実態を把握するための調査票を作成する。その上で、一般市民を対象とした調査を業者委託により実施する。さらに、バッシングの解消に向けた方策を検討するための介入研究(一般市民および大学生)についても、業者委託により実施する。
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Research Products
(1 results)