2016 Fiscal Year Research-status Report
情報共有ITツールを活用した認知症に伴う行動・心理症状対応プログラムの実践的開発
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16K13450
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
納戸 美佐子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (40421325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 明宏 一関工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60500428)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / グループホーム / 口腔ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症高齢者への支援では、一人ひとりの特性に応じた支援が求められる。特に、認知症に伴う行動・心理症状(以下、BPSD)は、職員の対応がBPSDの増減に影響を与えることが指摘されている。しかし、認知症高齢者のBPSDを改善するための適切な対応方法は、一人ひとり異なっているため対応方法をマニュアル化することは難しい。そこで、職員が一人ひとりの認知症高齢者にとって適切な方法を検討するためのツールが必要である。 本年度の研究では、認知症に伴う行動・心理症状(以下、BPSD)の生起状況を可視化し、BPSDへの対応方法を検討するためのアセスメントシートを作成することを目的とした。 本研究では、職員のインタビューから口腔ケアにおいて介護拒否がみられることが報告された認知症高齢者1名を対象とした。対象者の口腔ケア場面の行動観察を行い、その結果をもとにチェックシートを作成した。 約2週間、口腔ケアを担当した職員にチェックシートに口腔ケアの実施状況を記録してもらった。チェックシートの結果をもとに、拒否が生起しやすい支援方法と生起しにくい支援方法について分析した。各支援方法において拒否が生起しなかった(「歯磨き・うがいが出来た」または「うがいが出来た」)割合を口腔ケアの成功率として算出した。チェックシートを用いて、約1か月半ごとに口腔ケアの実施状況を確認した。チェックシートを用いて、成功率を算出した結果、職員の支援方法によって成功率が異なっていることが示された。 チェックシートを用いて、拒否が生起しやすい/生起しにくい支援方法を客観的に示すことにより、認知症高齢者への適切な支援方法を検討する際の資料のひとつとなりうる可能性が示唆された。今後、対象者を増やし、チェックシートの有効性を検討していくことが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象者がグループホームを退所してしまったため、研究を中断せざるを得なかったため。また、職員に機能的アセスメントの実施を試みたが、職員に過度な負担を与えることになり、方法を再検討する必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
他のグループホームに協力を依頼し、研究を遂行する。また、申請時の研究計画では、機能的アセスメントを実施する予定であったが、機能的アセスメントの実施を職員に求めることは、職員に過度な負担を与えることになることが分かった。 そこで、行動観察に基づいたチェックシートを作成し、BPSDが生起しやすい/生起しにくい支援方法を客観的に示し、その結果をもとに、認知症高齢者への適切な支援方法を検討する。 また、それらの情報を蓄積する情報管理ソフトウェアを開発する。チェックシートや情報管理ソフトウェアを活用した観察・分析・介護支援方法の検討・効果評価の手順をまとめたBPSD対応マニュアルを作成する。
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Causes of Carryover |
次年度のマニュアル作成の手順を把握するために、研究者自らが行動分析を行う必要が生じたため、データ整理のための人件費の使用に至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
連携研究者が所属する岐阜大学までの研究代表者の旅費とする。
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