2017 Fiscal Year Research-status Report
共感の反社会性と「いじめ」、偏見、紛争:異分野融合研究による教育モデルの提言
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16K13456
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
中村 真 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (50231478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 正文 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (80323319)
清水 奈名子 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (40466678)
石川 隆行 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (50342093)
沢田 匡人 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (40383450)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 共感 / 反社会性 / いじめ / 偏見 / 紛争 / 異分野融合 / 教育モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
年間3回(4月、8月、3月)の打ち合わせを行って、研究の進捗状況を共有するとともに、各メンバーが研究の進捗状況、成果を報告するための、開かれた研究会を3回(10月、12月、3月)実施した。さらに、第12回日本感情心理学会セミナー「社会的共生と排斥行動Ⅱ:嫌悪はなぜ拡散するか?」を開催し、宇都宮大学国際学部付属多文化公共圏センターと共催で、異分野融合研究会「多文化共生と社会的排斥」を実施した。
個別の取り組みの主要なものは以下の通りである。(1)19世紀後半~20世紀初頭のアフリカ系アメリカ人に関わる歴史や文学を考察した。(2)日本社会における民族差別や排斥行動に関する意識や経験についての調査を実施し、分析を行った。(3)中学生を対象とした共感性と援助不安における調査(平成28年度実施)結果について,日本教育心理学会第59回総会(2017年10月7日)で発表した。(4)いじめの背景要因として,個人が挑発事象を経験した時に,挑発の源泉ではない他の対象に表出する攻撃行動は置き換えられた攻撃(Triggered Displaced Aggression: TDA)の働きに着目し,大学生を対象とする調査を実施した。(5)学際的、分野融合的研究の成果として、感情コンピテンスの発達と人間の心理的傾向を踏まえた教育モデルを構築することを試み、その成果をヨーロッパ感情哲学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究組織としての活動、個々が分担している研究テーマのそれぞれについて、当初の計画がおおむね順調に進んでいる。
研究計画の進捗状況共有のための打ち合わせを行いつつ、個々の研究を進めるとともに、日本感情心理学会等と共催で、第12回日本感情心理学会セミナー「社会的共生と排斥行動Ⅱ:嫌悪はなぜ拡散するか?」を実施し、宇都宮大学国際学部付属多文化公共圏センターと共催で、異分野融合研究会「多文化共生と社会的排斥」を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を踏まえ、研究計画の最終年度である2018年度は以下の計画を実施する予定である。
これまでと同様に、定期的に打ち合わせを行い研究の進捗状況を共有するとともに、開かれた研究会を実施し、年度末にはまとめの研究会を開催する計画である。個々の研究テーマについては、以下のように進める予定である。 (1)20世紀初頭から半ばまでの人種差別・偏見と文学との関係を、アフリカ系アメリカ人への差別を中心に、ヨーロッパ系アメリカ人作家の作品と、アフリカ系アメリカ人作家の作品を分析対象に実施する。(2)東アジア地域出身の留学生と日本人学生を対象に、民族差別や排斥行動に関する意識や経験についての調査を実施する。(3)小学生を対象とした罪悪感,共感性および援助不安(被害者援助行動)に関する質問調査を実施する予定である。(4)今年度の研究により、平等主義志向性の高い者は,平等な地位構造に対して支持し,地位の格差を縮小しようとすることが分かった。この地位の階層構造や格差に対する意識が影響を及ぼして,地位の低い者に対して置き換えられた攻撃が生じやすくなることを検討するための研究を行う。(5)計画期間を通じて実施た研究の成果を踏まえて、教育モデルを精緻化するとともに、成果を公表するための研究会を実施する。
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Causes of Carryover |
年度末に実施した研究会の経費が予定より少額であったために残金が生じた。次年度に、研究計画全体のまとめのシンポジウム等を実施する際に使用する計画である。
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