2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K13458
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 剛介 名古屋大学, 学生相談総合センター, 特任講師 (30632153)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 障害 / 国際比較 / 関係流動性 / 主観的幸福感 / 自尊心 / 障害の視認性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、障害者、社会生態学的環境、両者の相互作用に関する定量データ構築のため、インタビューと調査を組み合わせて主に3 つの研究を実施する。まず、半構造化面接を用いたインタビュー調査を障害種ごとに実施し、各種障害者が置かれている状況や相対している社会的障壁を洗い出し、後の調査内容を決定する。次に、障害のある・ない者の両者に対して国際比較調査を実施し、社会的障壁の種類や多寡といった社会生態学的要因や文化の違い等の調整効果を検証する。障害と性別、障害の視認性によって適応度が異なるかなどの検証も行い障害のない、かつ人々の障害者に対する認知や信念、行動規範という社会生態学的要因の影響も合わせて検討する。また、そして、国内地域間比較調査により障害者の取り巻かれる状況の地域差を調査し、社会環境を鑑みた上で障害者の適応や社会参加を促進する要因の特定を目指す。各種障害者に対して行ったインタビュー調査とプレ調査を基に、二年目は日米における大規模国際比較調査を実施した。 日米合わせて5,000人以上を対象としたアンケート調査結果から、障害者間でも障害のある/なしにおいても、いくつもの心理的適応度指標(例、主観的well-being、家族満足感、友人満足感、自尊心、発達障害傾向など)に国間の差異が示された。また主観的well-beingや自尊心といった心理的適応指標と発達障害傾向に関連が示されたが、その関連の強さの一部は、当該社会の対人関係形成機会である関係流動性によって説明できる可能性も示されている。また、障害が視認できるものかどうかと性別によって上述の適応度指標が異なるかの検討した分析においても国間の差異が示されており、社会環境、または文化によって障害と適応の関連が異なることが示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査費用を節約できたため。その分を合算して2019年度の調査を拡充する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
節約できた調査費用を使用して、国内で障害者のみを対象とした調査を行う。また、国際比較調査をもう一度行い、得られている知見の頑健性を確認すると共に、国間の差異を生み出している新たな環境要因の影響を検証する。
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Causes of Carryover |
調査費用を節約できたため。その分を合算して2019年度の調査を拡充する予定である。
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