2016 Fiscal Year Research-status Report
機能的磁気共鳴画像に基づく嗜好の解読と社会的要因操作
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16K13460
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
唐山 英明 富山県立大学, 工学部, 教授 (00401323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
繁桝 博昭 高知工科大学, 情報学群, 准教授 (90447855)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳機能計測 / 嗜好情報抽出 / 感情刺激画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においては,機能的磁気共鳴画像によりヒトの脳を走査し,選好時の嗜好に関わる脳部位を特定し,その脳情報を分析することが目的です.さらに,嗜好の操作が可能であるか検証を行うため,社会的な要因を導入し,これを操作することによる脳活動の変化を調査することを目的としています. 特に,1年目には,基礎的な検討として,画像を被験者に提示し,その画像コンテンツに対する嗜好(快・不快・中立)の程度について調査することを目標としていました.この際,前述の社会的要因は当初からまだ導入しない予定でした.画像コンテンツ群としては,研究用の画像データベース(IAPS)を利用しました.被験者15名(男性8名,女性7名)に対して,感情刺激画像コンテンツを提示した際の機能的磁気共鳴画像データを収集し,統計的に分析を行いました. ここで,次年度に他者の意見などの社会的要因を操作することによる嗜好の変化について検証することを想定し,前段階の基礎データとして,感情刺激画像の背景色を変更した場合の嗜好の変化について詳細に調査しました.その結果,嗜好に関する脳部位を特定し,また,背景色により嗜好に関する脳部位の賦活において有意差が見られ,嗜好が背景色に影響を受け,操作できる可能性が示唆されました.ただし,得られたのは脳機能における有意差であり,画像に対するアンケート結果については背景色を変更してもなんら変化は現れなかったため,今後十分な考察が必要と考えられます. また,当初の予定では,嗜好の種類,つまり画像から快・不快感情のいずれを持ったかについて,脳情報から判別することを検討していましたが,この分析までにはまだ至っていないため,今後の研究の進展が望まれます.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点で,研究進捗はやや遅れていると考えられます.理由としては,脳情報を用いた嗜好の判別に関する解析ができなかったことが挙げられます.その他,画像提示実験の実施,その解析などの進捗については,おおむね予定通りであり,2年目の研究において十分に計画を遂行したい考えです.一方で,背景色を変更することによる嗜好の変化については,実験を前倒しして実施しており,予定外ですが進捗のあった点となります.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては,計画通り2年目において社会的要因の導入を行います.具体的には他者個人の意見や集団の意見の提示により,被験者の嗜好が変化するか,その際の脳機能計測結果について詳細に論じる予定です.
また,1年目の計画に盛り込んでいた脳情報の判別も行い,ニューロマーケティング分野に資する研究成果を得ることも引き続き目標とします.
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Causes of Carryover |
おもな理由は,当初予定よりも実験回数が少なくなったことが挙げられます.この要因として,解析手法の確立に時間を要したこと,さらに一部機器の故障による修理の必要性が出たことなどです.
次年度使用額については,その金額を機器の修理費に充当するべく繰越をいたしました.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のように,機器の修理費用に充当し,実験環境を整備した上で研究を継続します.2017年5月現在,修理が完了しており,研究の推進には問題はありません.また,その他の予算については,計画通り旅費や被験者謝金として支払うことに利用します.
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Research Products
(1 results)