2016 Fiscal Year Research-status Report
社会ダイナミクスにおけるステレオタイプの伝染過程に関する検討
Project/Area Number |
16K13461
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
榊 美知子 高知工科大学, 総合研究所, 客員准教授 (50748671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 航 高知工科大学, 総合研究所, 客員教授 (10748726)
小宮 あすか 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (50745982)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ステレオタイプ / 偏見 / 伝染 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,顕在的・潜在的ステレオタイプが,人と人とのネットワークの中でどのように伝染するかを検討するものである。また,伝染の文化普遍性を検討するため,日英の両国で同様の検討することを目的としていた。以上の目的を達成するため,初年度は,日本・イギリスの両国において,大学生を対象として,友人のネットワークを通してステレオタイプがどのように共有されるかを検討した。まずイギリスで予備調査を行い,顕在的ステレオタイプを測定するための調査項目の整備や潜在的ステレオタイプを測定するための課題の整備を行った。次に,各国の文化的背景を踏まえ,日本では日本人ステレオタイプと韓国人ステレオタイプを検討し,イギリスではイギリス人ステレオタイプとイスラム教徒ステレオタイプを検討することとし,各国で友人関係とステレオタイプに関するデータを集めた。その結果,顕在指標と潜在指標とで,異なる友人の影響が確認された。なお,1回のみの横断調査では,友人同士のステレオタイプが似ているか否かを調べることはできても,「単に似ている人同士が友人になりやすいだけ」という可能性を排除できず,実際に「個人Aのステレオタイプが個人Bに伝染したか否か」を判断することはできない。複数回の縦断調査を行い,「友人間のステレオタイプが似てくるかどうか」を調べることで,初めて伝染の有無を検討することができる。そこで初年度にデータをとったサンプルに関して,2年目以降も縦断的にトラックし,伝染の有無を継続的に検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はほぼ予定通り,日本とイギリスの両国で,ステレオタイプと友人関係のデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように,伝染を調べるためには縦断的調査が欠かせない。更に,1学年のサンプルサイズが30名程度と比較的小さいため,十分な検出力を担保するためには,新たなサンプルを追加する必要がある。そこで2年目以降は,1年目にとったサンプルを継続調査すると共に,新たに入学してきた大学生を対象に,データを追加する予定である。また大学生というサンプルに固執していると,十分なサンプルサイズが得られない可能性もあるため,2年目以降はサンプルに関して柔軟に変更を加え(例.家族内での伝染を見るなど),ステレオタイプの伝染の有無を立証する。更に1年目の成果に関しては,日本心理学会を始めとする関連学会で発表を行い,結果についてのフィードバックを得ると共に,論文執筆のための参考にする。
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Causes of Carryover |
当初の予定に比べて,大学の一学年のサンプルサイズが小さく,その結果被験者謝金が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降は,大学生と言うサンプルに固執せず,家族内の伝染を見るなどサンプルに関して柔軟に変更を加えることで,より大規模なサンプルを集め,プロジェクトを完遂する予定である。
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