2016 Fiscal Year Research-status Report
評定尺度法に対する回答の個人差と集団差を同時補正するための新たな方法の開発と評価
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16K13470
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 雄介 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (20615471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 謙介 専修大学, 人間科学部, 准教授 (20583793)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 調査データ / 回答バイアス / 評定尺度法 / 係留寸描法 / PISA |
Outline of Annual Research Achievements |
心理学をはじめとする諸研究分野において人間の高次精神機能について調査を行う際,最も広く最も簡便に最も安価に用いられる方法が質問紙調査であり,その質問紙調査において一般的に用いられるのが評定尺度法である。評定尺度法は,あらかじめ設定された明確な評価段階に従って,ある特定の事物や事象を被調査者に判断させる方法であるが,回答傾向に個人差が存在するという欠点がある。この問題点を解決可能なデータ取得方法として係留寸描法が挙げられるが,これまでは集団差や文化差にのみ着目した分析しか行われてこなかった。評定尺度への回答傾向は文化や集団に依存して異なり,さらに個人ごとにも異なりうる。それにも関わらず,既存のほとんどの国際比較調査においては,こうした回答バイアスの存在が無視されてきた。本課題ではこの問題を重要視し,回答傾向の個人差を評価し補正する統計手法を開発・適用し,補正前後や集団間での差異を議論する。とりわけ,平成28年度においては,まず,OECD PISA2012のデータを取得して重点的に分析し,これに関する成果発表を国内論文誌(1本),国内学会発表(3件),国内招待講演(5件)において行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた論文出版計画よりも,若干の遅れがあるものの,投稿中の論文原稿は複数あるため,これらについて,できる限り早く適切に研究業績としてまとめることができるように努力する。また,平成28年度の調査においては,1,000人規模のオンライン調査を実施し,OECD PISA2012の結果を追試可能かどうか検証を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現状において,本研究計画については,後ろ向きな計画変更の予定は無い。ただし,これまでに取得したデータの分析から,本研究計画に記したものにそぐわない結果が得られた場合には,ターゲットとする変数を適切に限定したり年齢層を制限したりするなどして,研究の効率的な遂行を妨げることのないように工夫・配慮を行う。
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Causes of Carryover |
校務に伴う出張取り止めが数件あったため,若干の余剰額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては,実施予定の調査における被調査者数を増やすなどの対応をして,本年度余剰分をそれに充当したい。
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