2018 Fiscal Year Annual Research Report
Can developmentally disabled students develop their agency? Building a support model for the process of manifesting and developing agency.
Project/Area Number |
16K13483
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 健一 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 教授 (10284142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 星子 名古屋大学, 学生相談総合センター, 特任助教 (00608961)
野邑 健二 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 特任教授 (50345899)
杉岡 正典 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 准教授 (70523314)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 主体性 / 個別心理面接 / 居場支援 / 児童期の再体験 / 研究室カウンセラー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大学院生の発達障害傾向、適応感及び学生相談への援助志向性の実態を把握し、要支援群に対してグループ居場所支援を縦断的に行い、主体性なき主体といわれる発達障害院生の主体性が発現し、発達するプロセスを明らかにすることを目的とした。最終年度となる今年度は、これまでの実践を継続し、研究結果を総合的に検討することで、関係性理論に基づく大学生の心理的支援モデルを考案した。 大学院生に対する縦断調査では、発達障害院生の1年目、2年目と同様、主にASDとAD/HDに関する支援ニーズが一定して高いことが認められた。とりわけ、研究科ごとに、ASDとAD/HDの特徴や困り感、及び、支援ニーズが異なっていたことから、研究科の特徴に応じたきめの細かい支援方法が必要であることが明らかとなった。また、発達障害傾向の高い大学院生に対する個別心理面接を行った結果、彼らの大学適応感や援助志向性が低い傾向にあることが示唆された。次に、グループ居場所支援では、ボードゲームなどを用いたグループ活動と、研究室の中へカウンセラーが入ってコミュニケーションをはかるグループ活動に2つを展開させ、その過程を関係性理論の観点から分析した。前者では、ゲームの勝敗にこだわった体験が主体性の発現に貢献し、自らボードゲームを製作するなど、彼らなりの主体的な行動が生起する場合も認められた。後者では、カウンセラーとの情緒的なコミュニケーション体験が院生の主体性向上を促進していた。高学歴の発達障害院生の場合、児童期における同性との遊び体験が少ないことが示唆され、青年期において児童期を再体験することが彼らの主体性の発現を促している可能性が示唆された。 これらの内容を関連学会および専門雑誌に発表し、情緒的な対人関係から彼らが主体性を伸ばしていく過程を明らかにし、今後の大学における学生支援のあり方について考察した。
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Research Products
(6 results)