2018 Fiscal Year Research-status Report
孤独死防止へ向けての高齢者の心理特性に着目したアセスメント・ツールの開発
Project/Area Number |
16K13498
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
山崎 久美子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 准教授 (30200653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
逸見 功 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50173563)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 孤独死 / 見守り支援 / 支援受け入れ / 支援拒否 / 一人暮らし高齢者 / 心理特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
アンケート調査票の質問項目の文章表現の精緻化:見守り支援を利用している高齢者の平均年齢が非常に高く、自己評価による回答形式の困難性と得られた回答の妥当性の問題が強く予想されることから、他者評価による回答形式にも耐えられるアンケート調査票になるよう、質問項目の表現にさらに工夫を加え、使用感を確認した。インタビュー調査結果の分析を経て抽出された特性10のうち2つのコアカテゴリー(「老人力」と「心理的不安定」)は倫理的配慮の一環で除外した。最終的には計24項目から構成されるアンケート調査票を作成するに至った。文章表現の工夫例としては、「遠慮深い」を「遠慮深いほうである」へ、「誰かが自分を助けてくれると思う」を「誰かが自分を助けてくれると思っている」へ、「誰とでも話せる」を「他人と気軽に話せる」へなど、他者が回答しやすいように変更した。 文献検討(書籍): 孤独死問題を考察する上で役立つ参考図書を検討した結果、社会福祉学の立場から執筆された6点(『大都市のひとり暮らし高齢者と社会的孤立』『孤独死を防ぐ―支援の実際と政策の動向』『社会的孤立問題への挑戦―分析の視座と福祉実践』『孤独死のリアル』『老人に冷たい国・日本―「貧困と社会的孤立」の現実』『高齢者の社会的孤立と地域福祉―計量的アプローチによる測定・評価・予防策』)が、終末期医療に従事する医師の立場から書かれた2点(『孤独死―被災地で考える人間の復興』『男の孤独死』)が、社会学の立場から執筆された1点(『孤立の社会学―無縁社会の処方箋』)が、フリーライターによるもの1点(『孤独死大国―予備軍1000万人時代のリアル』)が、エッセイストによるもの1点(『極上の孤独』)が、報道サイドから1点(『無縁社会』)が挙げられた。なお、心理学の立場・視点から執筆された書籍はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
見守り支援を利用している孤独死のリスクのある一人暮らし高齢者の平均年齢が非常に高いため、超高齢者への倫理的配慮の必要性ならびに超高齢者から得られるデータの妥当性の問題を考慮に入れてデータの収集方法(自己評価形式と他者評価形式の両方)および研究手法(「アナログ研究」)を変更したところ、研究対象者の選定に科学的妥当性がないとの理由で倫理審査を通過することができなかった。倫理規程に則り再審査請求を行ったが、不承認という結論は変わらなかった。(また、研究代表者の所属する機関の倫理委員会の承認を得られない場合は筆頭で研究論文を刊行できないルールになっているので、研究分担者の所属する機関で倫理審査を受けることが代替措置にならない。)
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Strategy for Future Research Activity |
「アナログ研究」を採用して得られるデータに対し多変量解析を行い、アセスメント・ツールを開発する研究計画を立てたが、わたくしどもの研究手法への承認が倫理委員会にて得られないため、アセスメント・ツールの作成方法と様式を当初予定したものから変更せざるを得なくなった。そこで、アンケート調査によるデータ収集は断念し、理論的枠組みに沿って質問項目を取捨選択し、「(高齢者の)人とつながっていられる特性」を反映するであろう構成要素を可視化できるレーダーチャートを作成する。その上で、レーダーチャートのパターン分類を試みる。加えて、代表的なパターンを複数個取り上げ、見守り支援提供者の支援レベル向上に資するいくつかのコメント文を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
計画したアンケート調査を実施段階に移せず平成30年度中に予定していた研究が終了しない見通しが立っていたので、平成31年度の研究に向けて残金を繰り越した。アンケート調査にかかる費用の一部(当初予定したアンケート調査票の印刷代と返信用切手代)が余剰金となった。そこで、レーダーチャートを用いたアセスメント・ツールを印刷物にし、本研究の成果物の一部(非売品)として広く全国の関連部署に配布したいと考える。具体的には、アセスメント・ツールの印刷代と封筒代と往路の切手代に充てることになる。
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