2016 Fiscal Year Research-status Report
モデルフリー・モデルベースシステム間バランスを評価する小動物用行動試験の開発
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16K13505
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
溝口 博之 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (70402568)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | モデルフリー・モデルベース / 意思決定 / 行動選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
適切かつ柔軟な意思決定を行うには、習慣的システムと目的指向的システムが状況に応じて切り替わりながら、協調的に働くことが重要である。これら情報処理システムの協調的バランスに障害があると、精神疾患患者に見られる自己制御能力の低下や近視眼的意思決定に繋がると考えられている。しかし、この研究領域はヒトを対象とした研究が盛んであるのに対し、基礎研究(げっ歯類)では、システムバランスを評価する行動試験が未開発である。本研究では、計算理論研究を取り入れ、げっ歯類を対象とした情報処理システムを評価する新規行動試験の開発を目的とした。平成28年度は、タッチスクリーン行動解析装置を導入し、行動タスクの確立を目的に、タスクの作製とタスク難易度に対するラットのモチベーションなどを確認することにした。作製した課題では、ラットはステージ1(状態A)でいずれかの図形を選択する。選択された図形に応じた確率で、ステージ2では状態Bもしくは状態Cのいずれかに遷移する。先ず初めに、ステージ1と2で使用する2画像を1ペアーとして、ラットが画像を弁別できるかどうか確認することにした。その結果、ラットの嗜好性が余り大きく影響されない3パターンのペアー画像を見つけることができた。次に、ステージ1からステージ2への遷移率およびステージ2における状態Bと状態Cの画像の報酬確率を100% vs 0%と50% vs 50%といったように、固定して行動試験を行った。その結果、ラットは試行を経験することで、確率が高い選択肢を選び、報酬を獲得するようになることが分かった。また、試しにモデルフィット化したところ、状態Bと状態Cの報酬確率を固定するとモデルフリー、モデルベースが判別できないことが分かった。今後は、目的通り、遷移率を変動させ、行動がどのように変化するか検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットの画像に対する嗜好性に隔たりがあると、正確に意思決定を判断できない。今年度は、ラットの嗜好性が余り大きく影響されない3パターンのペアー画像を見つけることができ、また、ステージ1からステージ2への遷移率およびステージ2における状態Bと状態Cの画像の報酬確率に依存して、報酬確率が高い選択肢を選べることが分かった。さらに、試しにモデルフィット化したところ、遷移率を固定するとモデルフリー、モデルベースが判別できないことが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
タッチパネルを用いた高度な視覚依存的餌弁別学習課題をプログラムできたので、今後は目的通り、遷移率を変動させ、ラットがヒトと同様に、モデルフリーとモデルベースの両方の情報処理システムを使って、行動選択するかどうか検討する。また、モデルフィット化により、weighting parameter(システム間比重)、固執、逆温度、学習係数などのパラメータ推定を行う。
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Causes of Carryover |
当初の予定通り実験計画を遂行しながら、節約に心がけたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を加えて、当初の予定通り実験計画をしっかりと遂行する。
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Research Products
(6 results)