2017 Fiscal Year Research-status Report
虚偽検出の基準となる質問表作成-最新の装置で調べる犯行時の記憶とは?―
Project/Area Number |
16K13510
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
中山 誠 関西国際大学, 人間科学部, 教授 (60554988)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 裁決項目の選択基準 / 事件内容の認識 / テロ行為の計画と実行 |
Outline of Annual Research Achievements |
テロ行為に関して、共謀罪であれば計画段階でも検挙することが可能であるが、実行群と計画群を識別することは犯罪の立件上必要である。そこで、実際に実行行為を行う事項群と、単に指示を受けただけの計画群を弁別する質問方法について検討した。 方 法:実験参加者は男女大学生48名(平均年齢20.6歳)であった。SCR、心電図(HR),呼吸運動を指標とする。模擬犯罪で、実験参加者は,別室に向かい,机上に置いてある5通の封筒から1通を選択し、指示書を取り出して熟読する。そして、実行群は地図上にある東京タワー,東京都庁,東京駅,浅草雷門,国会議事堂の写真の上に、指示された爆発物を置く。計画群は1週間後にテロ行為を行う場所を地図上で確認するのみで,爆発物を見ることはなかった。実験室に戻ると,テロ行為に関する容疑者として,ポリグラフ検査を受けるように求められる。質問は2種類で,爆発物をおいた場所(東京タワー,東京都庁,東京駅,浅草雷門,国会議事堂)と爆発物の種類(地雷型,ダイナマイト型,手りゅう弾型,カバン型,ボックス型)が写真で呈示された。そして、呈示順序を変えて各3回反復実施された。視覚刺激の持続時間は15秒,質問と質問の時間間隔は25秒一定であった。実験参加者は手に入れるができるので、生理反応の結果によって虚偽が発覚しないように努力することが実験課題であると告げられていた。場所と爆発物の隠ぺいに成功した場合には,500円のクオカードがそれぞれ1枚を得られることが約束されていた。 結果のまとめとして、場所に関して、両群を通じて裁決・非裁決の差が有意で、両群とも認識があることが明らかにされた。一方、SCRでは爆発物に関して、実行群では裁決・非裁決の差は有意で 計画群では項目の主効果が有意でなかったことから、実行群と計画群を識別することは可能であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回はテロ行為の計画段階のみに関わった容疑者と、実行行為まで行った者を識別する意味で、犯行内容の詳細時間する知識を独立変数とする研究を行った。そして、犯行場所については計画群も実行群も具体的な地図を見せられる犯行指示によって認識があり、セットする爆発物について計画群は目にすることがなく、実行群はそれを手に取って犯行場所に置くという模擬犯罪をデザインした。そして、SCR、呼吸曲線長、HRを指標とするCITの測定を行いながら、場所と爆発物の内容に関する質問を行った。その結果、場所に関しては両群の差がなく、爆発物に関しては実行群のみが識別可能であるという結果を得た。このことにより、テロ事件における、両群の別々という捜査目的にかなった成果が生理反応によって実現可能であることを証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
組織的なテロ行為に関 しては、計画段階で検挙することが可能となり、犯罪捜査における精神生理学的検出についても、新たな活用の場面が期待されるとなった。すなわち、これまでであれば、既遂事件の犯行内容から、真犯人のみが知る犯罪の詳細事実を抽出し、これを裁決項目として、無罪の被験者には裁決項目との識別が困難な非裁決項目を組み合わせて作成された CIT を用いてきた。しかしながら、計画段階での検査となると、既遂事件と異なり、明確な裁決項目が存在しないため、CIT によ る検査は不可能となる。そこで、探索型の CIT(SCIT)の有効 活用が見込まれるため、次の研究では非特定型項目(いわゆる catch-all item)、すなわち、「今聞いた以外の」で始まる質問を系列の最後に置くことで、全体を網羅することの効果に関する検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は予定していた実験の一部を実施できなかったので、次年度に行うこととしたため。
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