2017 Fiscal Year Annual Research Report
Facilitative effect of positive emotion on memory consolidation during sleep
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16K13511
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
甲斐田 幸佐 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80586264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板口 典弘 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 訪問研究員 (50706637)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 睡眠 / 学習 / 楽しさ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学習促進のメカニズムを説明するための理論モデル(「能力拡充スパイラルモデル」)の検証を目的とした。本研究で検証する仮説は、次の2点であった。(1) 学習は肯定的感情(「楽しさ」)と共に生じる、(2) 学習時に肯定的感情が強く生じるほど、睡眠中の記憶定着が促進される。本研究では、肯定的感情が覚醒中の学習を促進するだけでなく、睡眠中の記憶定着にも促進的に作用することを検証した。 本研究では、学習課題に視覚運動順応課題を用いた。視覚運動順応課題における被験者の課題は、画面上を動くドットを、コンピュータマウスを使って追いかけるものであった。この課題では、マウスの回転軸は、変化するようになっていた。マウスの回転軸が変化すると、被験者はマウスを思うように動かせなくなる。しかし、数回の試行を繰り返すと回転軸が変化したマウスでも上手に操作することができるようになる。つまり、視覚運動順応学習が生じる。視覚順応課題では、課題の成績によって課題の難易度(マウスの回転軸)が変化するように設定されていた。視覚順応学習の後には睡眠(仮眠)を取る場合と取らない場合があり、課題成績と睡眠中の脳波状態を比較した。 実験の結果、下記の2点が明らかになった。(1)視覚運動順応課題において学習が生じるが、「楽しさ」とは独立である、(2)視覚運動順応学習記憶の定着には、経過時間が関与しており、睡眠は有意な影響を及ぼさない。これらのことは、視覚運動順応学習課題といった潜在記憶に関する学習には睡眠ではなく、経過時間が重要な役割をしていることを示唆している。また、学習は「楽しさ」とは無関係に生じることが分かった。
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