2017 Fiscal Year Research-status Report
コメディカル学生における医療情報伝達能力向上のための言語技術教育プログラムの開発
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16K13513
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
野坂 大喜 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (80302040)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 言語技術 / 医療インシデント |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度研究においては以下の3サブテーマについての研究を実施した。 「医療用語や医療略語に起因する情報伝達過誤の事例分析」と「医療向け言語技術教育用事例変換データベースシステムと言語技術e-Learningシステムの開発」においては,医療インシデント発生過程での医療用語や医療略語の情報伝達過誤が課題であることが,厚生労働省による調査を通じて明らかとなっていることから,本研究では,過去に発生している医療インシデント事例を解析し,医療用語や医療略語の使用において『正しい情報伝達』を行うための『変換』方法と伝達対象別変換例を検討した。分析対象は日本医療評価機構においてデータベース化されている医療事故情報のうち,2014年4月から2017年3月までの過去3年間に報告された「伝達」に起因したヒヤリ・ハット事例396件を対象とした。伝達過誤の原因として,医療用語等の解釈過誤に加え本来情報伝達すべき付加情報落ちに起因する伝達過誤が多く発生していたことから,伝達方法として主治医の指示内容の文脈構造分析を行い,伝達過誤の起きにくい伝達例への変換例データベースを作成するとともに,言語技術マニュアルを開発した。また本マニュアルを基にした教育用問題集を開発し,e-Learningシステム用にコンテンツ化した。 「コメディカル学生向け言語技術教育プログラム組み込み型協同学習の実践評価」においては,前述の医療系学生向け言語技術教育プログラムについて,保健学系学生を対象とした協同学習プログラムに当該プログラムを組み入れることとした。医療者向け言語技術教育用問題集およびマニュアルを用いた新たな医療技術者向け教育プログラムとなる「医療におけるノンテクニカルスキル入門」を開発し,当該プログラムによる新たな教養科目をカリキュラムとして導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「医療用語や医療略語に起因する情報伝達過誤の事例分析」においては396件ものデータを解析し,言語技術マニュアルの開発に至っていること,また「医療向け言語技術教育用事例変換データベースシステムと言語技術e-Learningシステムの開発」においては本マニュアルを基にした教育用問題集を開発し,e-Learningシステム用コンテンツ化している。 以上のことから当初計画通りの研究スケジュールにて進捗しているとともに,研究成果の蓄積がなされていることからおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
事例変換データベースに関しては当初外部公開向けデータベースとして公開を検討していたが,教育用コンテンツとしての利用を考えた場合,e-Learningシステムとの連動が効果的と思われることから,両システムは分離せず,事例変換データベースによる事例学習からスキル判定に至る一連の過程を同一システム内で稼働させることとした。本システムは平成30年度より稼働を見込んでいる。
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Causes of Carryover |
当初計画においては,データベース開発のための物品費を計上していたが,データベース構築及びe-Learningシステムの開発において,本学が導入したシステムを無償で利用し,研究代表者本人がシステム開発を行ったことから,次年度使用額が生じている。 また研究成果報告のための旅費を計上していたが,本研究成果報告のための国内学会として弘前市開催の学会としたことから旅費についての次年度使用額が生じている。 平成30年度研究においては,実証評価において物品費並びに国際学会への参加費用が必要となることから,次年度研究において使用する見込みである。
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